2024年が始まりました。皆様は体調を崩したりしていませんか。季節柄インフルエンザやウイルス性感染症の予防対策としてはもちろん、これから春先まで大量のスギ花粉の飛散対策策として、また埃やPM2.5などの対策のために空気清浄機を稼働させる方が増えています。日常の生活においてもきれいな空気の環境で過ごしたいという方は一年中利用しているかと思います。
さて、そんな空気清浄機ですが、数年前は世界規模の感染症のためか需要が増大し入手困難だったのも記憶に新しいところです。そして現在、「世界的感染症を乗り越えたのでそろそろ勇退」「ここ数年(感染症対策のための研究)での機能向上がすごい新型に買い替えたい」という声が聞こえてきます。みなさん最新型に興味津々のようです。かく言う筆者も自宅の空気清浄機が10年選手なので本格的に新型導入を検討する必要が生じてきました。
さて、何を買おうか……。
そんな中、タイムリーにもダイニチ工業さんより発売された空気清浄機 CL-HB922 をレビューする機会をいただいたので実機を見ていくことにします。なお、この製品は「家電批評2023年ベストバイ」にも選ばれており市場評価の高い製品となっています。
……とその前に、この CL-HB922 について事前情報として製品概要を説明しておきます。
発売メーカーはダイニチ工業。ダイニチ工業と言えばヒーターや加湿器でメジャーなメーカーなのでご存知の方も多いのではないでしょうか。同社は加湿器のフィルター交換が楽なことでも人気なメーカーですが、この CL-HB922 にもその考えが反映されており、フィルター交換で労力を要するようなことはありません。(後述レビューにて解説)
仕様としては「ハイブリッド式空気清浄機」で「風量は毎分8.6立方メートル(適用床面積38畳)」とのことで広い部屋での運用もパワー不足になるようなことはありませんね。もちろん【ウイルス・細菌】【アレル物質】【PM2.5】【有害化学物質】【ニオイ】ような「空間の有害物質抑制とニオイもケア」にも対応とのことで本機一台で快適空間が実現できそうです。
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メーカー公式ページより抜粋 ※それぞれの除去状況など詳細は公式サイトでご確認ください。
インプレッション
外観
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CL-HB922 正面
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CL-HB922 背面
製品について見ていくことにしましょう。空気清浄機はインテリアの溶け込むためには存在感を主張しすぎてはいけません。インテリアや雰囲気に合うかどうか、見た目は重要なポイントになります。まずは本機の外観。一般的に空気清浄機は白色が多いのですが、本機のカラーリングはオリーブ(公式ではブラウン)と白の 2トーンでシックにまとまっています。縦に入ったラインデザインと突起物が一切いこと、下部の中空デザインと相まって尖ったデザインではなく圧迫感のないスタイリッシュなものとなっています。空気清浄の仕組みとしてはこの足元の中空部分4面から吸引して上部から排出する仕組みとなっています。小さな部屋用と言うよりは重厚感のある高級な家具のある広いリビングに似合うはずです。一般家庭はもちろんのこと、金融機関や士業オフィスなどで設置しても違和感のないものとなっています。
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CL-HB922 左側面
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CL-HB922 右側面
左右は同一デザインになっています。真横から見ると電源ケーブルの有無でのみ判断可能なほど、背面を見ても突起物やフィルターむき出しのような裏側感は無く非常に秀逸なデザインで仕上げられています。場所を選ばずに設置できると言っても過言ではありません。
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CL-HB922 天面
上部は操作パネルと吹き出し口で構成されています。メッシュ内部をよく見ると内部に大きな排出用ファンが見えます。このファンによってきれいになった空気を上部へと排出することになります。
パネルでの操作は電源と風量切り替え(自動・弱・中・強・ターボ)となっています。その他、いたずら防止のチャイルドロック、お手入れリセットボタンがあります。
フィルター構造
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背面フタ解放時
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正面トレイ引き出し時
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活性炭脱臭フィルター
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静電NEOHフィルター
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電気集塵式プラズマユニット
フィルター構造は全4層となります。背面のフタを開けるとフィルター類へのアクセスが可能になり、背面からのアクセスは3層で上から「活性炭脱臭フィルター」「静電NEOHフィルター」「電気集塵式プラズマユニット」となります。正面に回るとプレフィルターへのアクセスが可能となりますが、こちらは引き出し式で簡単に取り換え可能となっています。構造的には一番下にプレフィルター(汚れた空気を取り込む最初のフィルター)が来る形となります。
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サイズ
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幅:31cm
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奥行:31cm
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高さ:54cm
公式情報によると製品の寸法は W540mm × D310mm × H310mm、重量は8.7kgです。
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空気清浄機 CL-HB922 について
CL-HB922 空気清浄機の仕組み
実は一口に空気清浄機と言ってもいくつかの種類に分類されます。
主なところでは「空気清浄機」「加湿空気清浄機」「除加空気清浄機」「脱臭機能付き空気清浄機」「イオン発生機」などに分類されます。ご利用の環境に応じてそれぞれ必要なあるいは不要な機能が異なりますが、「空気をきれいにする」という基本は守られているので種類によって一長一短があるためそれだけで性能の良し悪しが決まるわけではありません。シンプルな機能だけれども究極を追い求めた空気清浄機だったり、湿度を管理してくれたり様々です。
今回の CL-HB922 には加除湿機能は付いていませんので、上記に当てはめると「脱臭機能付き空気清浄機」ということになるでしょうか。本機の構造的な特徴はハイブリッド式フィルターを採用している点です。仕組みとしては4層で構成される異なるフィルターによって汚れた(微粒子を含んだ)空気をきれいな空気にして排出します。集塵構造について詳細は下記画像をご覧ください。
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CL-HB922 仕様表
CL-HB922 | ||||
---|---|---|---|---|
希望小売価格(本体価格) | オープン価格 | |||
適用床面積 | 63㎡(38畳)まで | |||
8畳を清浄するめやす | 7.7 分 | |||
運転モード | ターボ | 強 | 中 | 弱 |
風量 | 8.6㎥/分 | 5.1㎥/分 | 3.2㎥/分 | 1.7㎥/分 |
運転音 | 55dB | 41dB | 28dB | 15dB |
消費電力 | 53W | 18.5W | 7.2W | 3.8W |
1時間あたりの電気代のめやす | 1.65円 | 0.58円 | 0.23円 | 0.12円 |
外形寸法 | 540mm × 310mm × 310mm(高さ× 幅× 奥行) | |||
質量 | 約8.4 kg | |||
電源コードの長さ | 2.0m | |||
安全装置 | 室温異常自動停止装置 | |||
付属品 | カンタン取替えプレフィルター(交換用2枚) | |||
カラー | ホワイト×ブラウン(WT) |
実機レビュー
CL-HB922 開封と同梱品
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CL-HB922 梱包荷姿
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CL-HB922 本体
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CL-HB922 同梱品
製品はしっかりとした厚手の段ボール梱包、内部は発泡スチロール緩衝材によって保護されています。内容物は本体の他は画像にあるとおり交換用プレフィルター、活性炭フィルター、製品マニュアル類のみです。一番多く頻繁に交換するであろうプレフィルターの予備が2枚同梱されているのは嬉しい配慮と言えます。
※フィルターは量販店や 公式ショップ にて別売中
CL-HB922 運転状況
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CL-HB922 の運転はパネル操作で行います。上記はパネルイメージになりますが、基本的に電源を入れて任意に風量切り替え(自動・弱・中・強・ターボ)するだけです。日常的に利用することになるので何も悩まずに自動運転で足りますが、汚れた空気、埃っぽい場所などで利用する場合は強やターボを利用し室内をきれいにしてから切り替えればよいかと思います。
運転時の騒音ですが、ターボ・強・中・弱でそれぞれ異なります。都内マンション中層階、二重サッシ窓閉め状態、室内に他の稼働家電無し、部屋の広さは約15畳相当、無声音状態(約15db~20db)の筆者宅環境、製品正面約50cmでの計測で検証してみました。また、せっかくなので併せて消費電力なども測定していますので運転の参考にしてください。。
風量について、視覚的なイメージとして吹き出し口にティッシュペーパーを置いてその揺らぎを見てみました。上部から見た場合にファンの構造上、ドーナツ状に風が噴き出ています。
※実証イメージではティッシュペーパーが飛ばないよう端をテープで固定しています。
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風量チェック:運転OFF時
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ターボ運転時 47.8db / 52.1W
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強運転時 37.2db / 16.1W
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中運転時 31.4db / 7.3W
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弱運転時 26.4db / 3.7W
運転 | ターボ | 強 | 中 | 弱 |
---|---|---|---|---|
騒音レベル | ~ 48db | 32db ~ 37db | 28db ~ 31db | 22db ~ 27db |
消費電力 | 52.1W | 16.1W | 7.3W | 3.7W |
実証結果は画像と表にまとめておきますので参考にしてみてください。実証の結果ですが、思いのほか静かな運転でした。ターボモードにすると50db近くなってそれなりに煩く感じますが、強モード以下であれば 3m以上離れると気にならないレベルまで軽減されますし、オフィスなどで利用する場合はデスクトップ PCやプリンタの駆動音・その他の雑音で埋もれてしまうレベルです。
※駆動騒音レベルがメーカー公表値と異なるのは実験環境の騒音レベルに依存するものです。なお、オート運転時は 強・中・弱 のいずれかの運転モードとなります。
風量について、ティッシュペーパーの揺らぎを見てみると【弱】では捲れる程度で、【中】で波立ち、【強】では激しい揺らぎが感じられます。【ターボモード】運転時では紙が棒状に立っていることがわかります。
レビュー後記
今回の製品レビューで筆者が特に重視したポイントは、以下の3つです。
機能性
製品が持つ機能が正確かつ効果的に機能すること、また必要な機能に絞り込まれているか。
メンテナンス性
長期間にわたって使いやすいよう設計されているか、壊れやすい構造ではないか。
デザイン性・操作性
操作性が阻害されていないか、機能やメンテナンス性を犠牲にしていないか。
これらを前提にレビューしてきましたが、本製品は加除湿などの余分な機能が無いため構造はシンプルでメンテナンス性(フィルターの取替)に優れていると感じました。一見するとフィルターは背面一括配置でも良さそうですが、特によく交換するであろうプレフィルターは前面に、その他の交換頻度の高くないフィルターは背面にとうまく振り分けているのはプロダクトデザイナーのセンスが光ります。その他、ホコリまみれになることが予想される脚部のお手入れも前後からのアクセスの良さ、突起物や凹凸部が存在しないことなどからも拭き掃除が楽であると言えるでしょう。もちろんメンテナンス性だけでなく操作面でも工夫されており、操作パネルが上部に配置されているので身長 175cm 位までであれば立った状態で屈まずに操作可能(製品は床置き状態)です。ユーザビリティーを考慮された設計だと感じました。
その他、レビュー外情報として忘れてはいけないのがサポート状況です。WEBサイトをチェックしてみましたが、保証やサポートは国内大手メーカーということもあり問題ありません。メールでのお問い合わせはもちろん、インターネットが苦手な年配の人でも安心の 電話・FAXでのお問い合わせにも対応 しています。
筆者の感じた ここがすごい 3選
省電力・静音
省エネ製品が注目されている昨今、空気清浄機も例外とは言えません。本機の運転は理想的な省電力と言っても良いのではないでしょうか。ターボモードを常用する人はいないと思いますが、モード強で16W、モード中で7W(筆者実測)程なので日常的な運転であっても負担は最小限に抑えられます。静音性について言及すると、こちらも優秀な数値を出してくれました。モード強で40db未満、モード中で30db前後です。一般的に40dbで図書館の館内と同レベル、30dbで郊外の深夜と同レベルと言われているのでいかに静かな運転かが伺えます。モード中で耳をすませば聞こえるかも?レベルで、モード弱であればよほど集中していないと気づかないかもしれません。乳幼児のいる部屋での運転に理想的な静音性と言えるでしょう。
適用床面積が広い
空気清浄機のカタログを見ると「適用床面積」や「適用畳数」の記載があります。本機の適用床面積は約38畳ですが、10畳の部屋でも6畳の部屋でも問題なく使えます。むしろ筆者は狭い部屋での利用も推奨したいほどです。というのも、家電量販店に空気清浄機を見に行くと店員さんの多くの方は使用場所が 10畳であれば「10畳~12畳タイプを購入すれば良い」と勧めてきます。確かに規定の畳数なので不具合なく動いてくれますが、もし空気清浄機の性能を最大限引き出して活用するのであれば目安としては使用環境の2倍~3倍以上の畳数のタイプを選ぶと効果が体感できるレベルで違ってあきらかに空気がきれいと実感できるでしょう。今回の実証レビューでは部屋の広さは約15畳相当でしたが、これまで使っていた他社製の空気清浄機とはあきらかに違うと実感できました。
圧倒的メンテナンス性
空気清浄機の普段のメンテナンスは清掃と定期的なフィルター交換です。清掃については多くの方が拭き掃除あるいはホコリ吸着ワイパーによるホコリ取りでしょう。ほぼ毎日の作業なので突起物がない、手が入れやすいというのは他機種にはないアドバンテージになります。フィルター交換においてもよく交換するプレフィルター(外気を取り込む最初のフィルター)はフロントの引き出し式なので背面に回って裏ぶたを開けてのような面倒さもありません。
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空気清浄機の選び方
さて、これまでダイニチ工業の空気清浄機 CL-HB922 を見てきましたが、最後に一般的な空気清浄機の選び方、おさえるべきポイントをご紹介して締めとさせていただきます。
空気清浄機の種類
一口に空気清浄機といっても「空気清浄機」「加湿空気清浄機」「除加空気清浄機」「脱臭機能付き空気清浄機」「イオン発生機」などに分類されます。それぞれに一長一短ありますが、使わない機能の付いた機種を購入した場合は購入コストだけでなくフィルターなどの交換コストが高くなってしまうこと、メンテナンスが複雑になるという点も忘れてはいけません。ご利用の環境に応じてそれぞれ機種を選択することが大切です。
フィルターの種類
空気清浄機には静電フィルターや活性炭フィルターなど、異なる種類のフィルターが採用されています。それぞれのフィルターはそれぞれ花粉やハウスダスト、PM2.5、あるいはニオイなどを除去することができます。フィルターの種類によって、空気清浄機の性能が異なるため、ご自身の使用目的に合わせたフィルターが採用されている機種を選ぶことが大切です。ランニンクコストの面から見るとそれぞれのフィルター交換頻度や購入コストのチェックも忘れないようにしましょう。
清浄能力
空気清浄機の清浄能力は一般的に日本電機工業会規格の JEM1467 または 世界基準 CADR(Clean Air Delivery Rate)という数値で表されます。国内では JEM1467 基準が採用されることが多いのですが、いずれにせよこの数値が高いほど空気を早くきれいにすることができます。使用する部屋の広さに合わせて余裕を持った 機種を選ぶことも大切です。
※ JEM1467 と CADR については下記をお読みください。
多くの空気清浄機では能力を日本電機工業会規格の JEM1467 を基にした適用床面積(適用畳数)で表しており、その空気清浄機の持つ適切な床面積だと認識されがちですが、実はこれ、あくまでも 30分で清浄できる部屋の広さ を表しています。世界基準の CADR と比較すると2倍以上の差があります。もちろん JEM1467 規格のメーカー公表値の適応床面積で利用することで不都合はありませんが、空気清浄機の効果を実感するなら適用床面積は 半分程度に考えておくと良いかも知れません。大雑把な計算になりますが、例えば CL-HB922 は適用床面積が63㎡/38畳なので、15~20畳程度のスペースであれば効果を実感できるといった感じです。
静音性
空気清浄機は長時間稼働することが多いため、静音性が高いものを選ぶと快適です。静音性が高い空気清浄機は乳幼児のいる部屋や就寝時に使用するのにも適しています。おすすめは通常位運転時(強制清浄モード時以外で)に 30db程度、多くとも 40db未満であれば良いでしょう。清浄能力と話は被りますが、対応床面積が大きい方が余裕を持った運転が可能です。
デザイン
空気清浄機はリビングや寝室などの人の目につく場所に置くことが多いため、デザインにもこだわりたいところです。サイズや家具に合わせたデザイン、カラーリングなど利用環境に合うものを選ぶことが大切です。
以上、空気清浄機のおすすめチェックポイントです。お役に立てれば幸いです。
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