多摩電子工業 CREVIO PD65W モバイルバッテリー&充電ステーション

今、企業あるいは学校教育現場においてノートPC、タブレットなど端末の予備電源として利用できる大出力のモバイルバッテリーが注目されています。

一般的に「モバイルバッテリー」と聞くとスマートフォン向けの汎用モバイルバッテリーを想像する方がほとんどではないでしょうか。汎用のモバイルバッテリーはスマートフォンやタブレットへの給電を目的とし 5V / 2A / 10-15W 前後で 4000-8,000mAh のようなタイプが主流です。ですがこれらはあくまでスマートフォンやタブレットで利用することを目的としているため、ノートPCなど45W、65W クラスの給電が必要な端末には向いていません。もちろん最近では一部のメーカーからこれらに対応するモバイルバッテリーが発売されているのですが、コンシューマモデルが主流なので企業あるいは学校教育現場での一元管理・一括保守には向いていません。

企業あるいは学校教育現場においても当たり前となったPC端末の利用ですが、企業ではフリーアドレス、カフェワークなどの普及によって電源が確保できない環境下でのワークが増加しています。文教環境においては GIGAスクール構想で1人1台 PC 端末を利用していますが、毎日使うものなので内蔵バッテリー消耗が激しく、1~2年経過した端末ではフル充電でも一日持たないといった事例が報告されています。これらの環境下におけるエクストラ電源の確保に便利なのが 一元管理できる PD対応のモバイルバッテリーです。

今回はそんな PD対応の業務用モバイルバッテリー の中から、この夏発売予定の 多摩電子工業 CREVIO PD65W モバイルバッテリー&充電ステーション TLP125LFP-5Sをピックアップしていきます。

crevio mobile battery charging station
多摩電子工業 CREVIO PD65W モバイルバッテリー&充電ステーション TLP125LFP-5S

なぜこのモデルをピックアップしてご紹介するのか、それはこのモバイルバッテリーが他社製品と違う最大の特徴でもある安全性の高い「リン酸鉄バッテリー」を採用しているためです。不特定多数のユーザーが利用する企業や教育現場などではできる限り安全性を重視したいですからね。

リン酸鉄バッテリーとは?

リン酸鉄バッテリーはマンガン系・三元系バッテリーと比較して安全性が高く長寿命の次世代型バッテリーです。バッテリーに使われている「リン酸鉄」は、その結晶構造が強固で高温においても熱安定性が高い という性質があるため急速充電に強く自然放電や発火・爆発などの事故率が少ないことが主な特徴として挙げられます。リン酸鉄バッテリーは安全で長寿命なので最終的なコストパフォーマンスが高いのも特徴の一つです。

CREVIO PD65W モバイルバッテリー&充電ステーション

インプレッション

まずは製品を確認していくことにしましょう。

crevio mobile battery charging station
多摩電子工業 CREVIO PD65W モバイルバッテリー&充電ステーション TLP125LFP-5S
crevio mobile battery charging station
crevio mobile battery charging station
crevio mobile battery charging station
crevio mobile battery charging station

このモバイルバッテリー&充電ステーションの最大の特徴は、65W 級モバイルバッテリーを複数(最大5台)同時に充電(急速充電 3時間対応)できる点でしょう。出力の大きいモバイルバッテリーを充電するには高効率で高出力対応のバッテリーチャージャーがバッテリーごと個別に必要になりますが、この充電ステーションは 6.66A / 200W クラスの電源を採用しており、搭載モバイルバッテリーを5台まで同時充電できるので個別充電のようにコンセント不足に悩まされることはありません。

充電方式は接点式なので充電ステーションにモバイルバッテリーを置くだけです。充電のためにわざわざケーブルを用意したり抜き差しする必要はありません。

モバイルバッテリーに目を向けると、本体は65W級なのである程度のサイズ(幅7cm / 高さ12.5cm )がありますが、やや丸みを帯びた形状で手に持った際も角が当たるようなことはありません。このあたりは文教の現場で子どもたちの利用を想定しているのか優しい配慮と言えるでしょう。サイズ感は重さ※こそ異なるものの、その形状から 350ml ドリンク缶(幅6.6cm / 高さ11.5cm)程度と考えてよさそうです。車内などで利用する場合はドリンクホルダーにぴったりサイズなのも嬉しい仕様ですね。
※このモバイルバッテリーの質量は635gとなります。

crevio mobile battery charging station
crevio mobile battery charging station
crevio mobile battery charging station

モバイルバッテリーの機能面については PD65W / 18,000mAh となっており、このモバイルバッテリー 1台で 3デバイスに対応しています。一般的なノートPC(50W)であれば1回分、タブレット(30W)で1.5回分の給電が可能です。
※バッテリーの機能詳細は下記仕様表をご参照ください。

なお、付属のモバイルバッテリーの数に合わせ USB Type-C to C ケーブル が 5本 標準で付属しています。通常は機器を購入した際にのみついてくるのですが、ケーブルは消耗品のようなものなのでユーザー目線で考えてくれるメーカーさんの配慮と言えるでしょう。

仕様

ファーストインプレッションに続いてレビュー機の仕様について見ていきましょう。

製品名 Crevio Long Life x5
製品型番 TLP125LFP-5S
バッテリー
(1個あたり)
電池セル:21,700 / 18,000mAh (3,000mAh x6)
     3.2V / リン酸鉄 /57.6Wh
USB Type-A 出力:5V / 2.4A(自動認識)
USB Type-C 1
USB Type-C 2
入力(PD65W):5V/3A 9V/3A 12V/3A 15V/3A 20V/3.25A
出力(PD65W):5V/3A 9V/3A 12V/3A 15V/3A 20V/3.25A
同時出力 USB C1 + USB C2 = PD45W + PD20W
USB C1 + USB A = PD45W + 12W
USB C2 + USB A = PD45W + 12W
USB C1 + USB C2 + USB A = PD40W + 15W + 12W
接点充電ポート 急速充電(3時間でフル充電)
サイズ モバイルバッテリー:W70 x H125 x D70 (mm)
充電ステーション:W418 x H172 x D179 (mm)
質量 モバイルバッテリー:635g /個
充電ステーション:1830g
付属品 ACアダプター(出力:30.0V/6.66A/200W)x1、
USB Type-C to C ケーブル x5、取扱説明書(製品保証書付)x1
保証期間 標準3年保証+最大3年(1年・2年・3年から選択)有償保証を追加可能
合計で最大6年の保証期間

※今回レビューに使用している検証機は発売前のため実際に販売される機種の仕様と異なる場合があります。

製品レビュー

せっかくなので実機を使っていろいろとチェックしていきます。

充電ステーション

充電ステーションについての仕様的な説明はインプレッションの際に説明しているので、ここでは充電ステーションの機能を見ていくことにしましょう。

crevio mobile battery charging station

充電ステーションはバッテリー外れ防止のストッパーがあり、このストッパーを市販のキーによりロックすることも可能です。不用意に持ち出されるようなこともなく盗難防止に役立ちます。

置くだけ簡単!楽々充電

モバイルバッテリーのチャージについて見てみましょう。

crevio mobile battery charging station

置くだけ充電の接点式(充電ステーション側)

crevio mobile battery charging station

置くだけ充電の接点式(モバイルバッテリー底面)

充電についてはこれ以上無いくらい楽です。一般的な製品はケーブル接続充電なので USB ポートにケーブルを挿すことから始めますが、この作業がいかに煩わしいかはみなさんもご承知かと思います。1台ならともかく、複数台をケーブル接続となると面倒極まりないことでしょう。本製品の場合は接点式のため充電ステーションに置くだけで充電可能です。配線がないのでステーション周辺がごちゃごちゃ絡まる心配もありません。

肝心の充電速度について、本製品の接点充電は急速充電対応となっており約 3時間でフル充電となります。18,000mAh の充電が約 3時間で済むので使い勝手はかなり良さそうです。なお、充電回数は公式情報で 2,000回以上となっています。

PD65W 給電に対応

このモバイルバッテリーは PD65W 対応なのでスマホやタブレットはもちろん、PCにも対応しているので PCに接続して実際に給電されるかどうかを見てみました。

crevio mobile battery charging station

PD65W 出力(端子はUSBで C / C / A)

crevio mobile battery charging station

USB-C 接続で PCに通電しているのがわかる

このモバイルバッテリーのポートを同時に利用した場合の出力は下記のような組み合わせとなります。

・USB C1 + USB C2 = PD45W + PD20W
・USB C1 + USB A = PD45W + 12W
・USB C2 + USB A = PD45W + 12W
・USB C1 + USB C2 + USB A = PD40W + 15W + 12W

このことからPCへの給電は実質的に C1ポート(モバイルバッテリー天面の上側Type-Cポート)が専属で担う形になります。今回の実証ではPanasonic レッツノートで試しましたが、同クラスのモバイルPC であれば同時にスマホやタブレットの充電も可能となります。本製品に限らず他のモバイルバッテリーでもよく勘違いされる方が多いのですが、モバイルバッテリーの出力表記は「各ポート出力の合計値」 という点です。上記組み合わせでも合計値で 65W 前後になっているのがおわかりかと思います。単体で 65W を必要とする機器の場合は同時給電せずに利用することになります。このことからも本製品を性能前提で見るとビジネスシーンや文教で利用するPC(25W~45W)であればほぼ対応可能ですが、高機能ゲーミングノート(150Wオーバー級)や一部のクリエイター向けPC(90W級)への給電は出力不足となるので注意が必要です。

ここがすごい!徹底した安全管理と充実の製品保証

企業や文教における不特定多数での利用、すなわち業務用途での利用がメインとなる本製品には手厚い製品保証がついています。

crevio mobile battery

バッテリー単体の製品でここまでの保証がある製品はあまり見かけないですが、製品保証は標準3年+最大3年(1年・2年・3年から選択)の有償保証(最大で合計6年)を追加可能)の製品保証に対応しています。この点だけを見ても導入のハードルが下がるのではないでしょうか。

これを実現できるのは本製品に使用されているバッテリーが「リン酸鉄」であるためです。「リン酸鉄」系バッテリーは発火や爆発が起こりにくく、高い安全性を実現しています。(下記実験画像参照)

crevio mobile battery

そしてリン酸鉄はその寿命にも影響しており、許容充放電回数は一般的な三元系バッテリーの数倍で 1つのバッテリーを長く愛用することが可能です。

編集後記

ざっと駆け足で見てきましたが、徹底して安全性に配慮したこだわりのある製品となっています。企業や教育現場などで不特定多数の人員がおり誰がどの個体を使うかわからない状況下では発火や爆発がしにくいというのは非常に重要な要素となります。メーカー担当者様のお話によると発売日以降はデモ機の準備も検討中とのことで、本格導入前に試したい担当者様には朗報です。製品導入やデモ機のご相談については当編集部で対応しておりますので下記よりお問い合わせください。

2023年10月23日追記:正式発売され、当編集部の姉妹サイト「見てね価格 BizPARK」にてお取り扱い開始しました。ご購入をご検討の方は下記の青いボタンからご購入いただけます。

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