皆さんはNECと言えば何を思い出すでしょうか。
コンピュータ黎明期の1980~90年代、圧倒的シェアを誇り国民機とも言われた機種PC-9800シリーズを発売していたのがNECです。さすがにPC-98はWindowsの普及とともにその役割をPC/AT互換機(DOS/V機)に譲りましたが、デビューから30年以上経過した今でもPC-98が現役で稼働(機械制御などで)している工場もあるとのこと。それだけ物づくりに信頼性があるメーカーであるとの証明でもあります。そして何よりNECは日本初のモバイルパソコンメーカーでもあることは忘れてはならないでしょう。
さて、今回はそんなNECから最新のモバイル機をお借りしたのでレビューしていこうと思います。
○外観&質感
数値の上では1.23kgですが、持った感じでは決して重くはない心地よいずっしり感があります。
○ベンチマーク
ストレージの速さが非常にインパクトがあります。
公表していませんが恐らくはSSDでもM.2となっているでしょう。
CPUについては低電圧版i5 1.7GHzといっても4コア8スレッド。マルチコア対応の最新アプリケーションにそのパワーを発揮できるでしょう。GPUはオンボードとなるため過度な3DやCADなどは不得手となりますが、8世代のCPUに搭載されたGPUなので4K程度の動作再生なら余裕で処理できます。
○インターフェース
・前面
HDDや電源などのインジケーターが正面右側に配置されている以外は特にインターフェースは設けていません。
キーボード手前にあるフラットなタッチパッドはモバイルとしては当たり前ですが、この機種の最大の特徴は指紋認証機能でしょう。(※要構成時選択)
・背面
背面にはSIMスロットを搭載してます。
対応SIMはMicroSIM/nanoSIMに対応(排他利用)となり、手持ちのSIMカードを規格変更することなく最大限利用することが可能となってります。
・天面
シンプルなNECロゴのみ(デモ機のため管理シールがあります)で、角にあまり丸みを持たせていないため天面から見るとボディーが一枚の金属板のようになるため非常に美しいスタイルとなっています。
・底面
ボディー内にこもった熱を排出するため排気スリットが排気ファン直下にあります。稼働中のファン音もあまり気にならないレベルとなっています。底面部分は非常にシンプルな作りで、型式表記シール、Windowsロゴシールなどが貼付してあります。
(デモ機のため管理シールがあります)
・右側面
排気スリット、USB3.0x1、ケンジントンロックのシンプルな構成です。
通常は右側でマウスを利用するためシンプルなのはユーザーに配慮した嬉しい仕様です。
・左側面
3.5mmピンジャック、HDMI出力、USB3.0x1 USB3.1×1、USB-C(電源兼用)の構成となっています。
基本的に必要なインターフェースは左側面配置となります。
○機能性能
性能機能を各別で見て行きましょう。購入時セレクトでいろいろカスタマイズ可能ですが、デモ機の仕様は下記のとおりです。
▽仕様概略(PC-VKM17BZC3)
OS:Windows10Pro
CPU:intel i5-8350U(4コア8スレッド)
メモリ:8GB
ストレージ:SSD 512GB
液晶画面:FHD(1920×1080)16:9 12.5インチIPS液晶
通信:IEEE802.11a/b/g/n/ac および LTE
※各パーツは購入時に選択可能なため仕様はレビュー機に基づく
▽CPU
CPUは最新の第8世代Core i5-8350Uを搭載しています。(購入時に第7世代/第8世代のi3/i5からセレクト)
U型番なので低電圧版でクロック数こそ1.7GHzと低いですが、4コア8スレッドとなっています。単純にコア数を増やせばよいというものでもありませんが、Core i5であっても第8世代です。第7世代で言うCore i7上位モデルと同等性能なので低電圧版であっても重い作業も楽々処理が可能となっています。
▽メモリ
オンボードで8GBを採用しています。(購入時に4GBまたは8GBでセレクト)
8GBであれば一般的なオフィス作業でも多少の無理は利きますし問題ありません。画像処理なども多重起動さえしなければ作業可能となります。動画処理ではFHDまでの処理までとし、メモリ依存の重い作業であれば通常はデスクトップ機などに任せて外出先での作業に留めるのが望ましいと思いました。
▽液晶
12.5インチ FHD IPS液晶 (購入時にHD液晶/FHD IP液晶でセレクト)
サイズ的にはモバイルの域を出ていませんが、IPSを採用しているため発色もよくワンランク上の画質を得られます。また。蛍光灯の映りこみも少ないためLED灯や蛍光灯の明るいオフィス内でも視認性を確保しています。
ただ、注意したいのは購入時にHD液晶を選択する場合。12.5インチと言ってもHD液晶はいかがなものでしょうか。他社製パソコンでは11インチでさえ4Kが選べる時代です。Windows10であれば高解像度であっても設定で自分に合った文字サイズでの表示が可能なのでこちらはそもそも選択肢が出る時点でNGと考えても間違いないでしょう。
▽キーボード
テンキーレスのFnキー付きキーボード。配列は一般的な規格なので迷うことはありません。キーピッチも問題なく、打鍵感はやや軽い印象があります。それでも極端にふにゃふにゃした感じはないのでブログ更新や企画書の作成などある程度の長文入力でも大丈夫。
また、この機種は最大の特徴でもある防滴構造を採用しているため万一液体をこぼしたとしてもデータ保護のためシャットダウンする時間を稼げます。普段から気をつけていてもうっかりだけは否定できないので嬉しい配慮ですね。
※あくまでも防滴構造なので防水を保証するものではない点に注意
▽ストレージ
暗号化機能付きの512GBのSSDを搭載しています。(購入時にSSD 256GB/暗号化機能付き512GBをセレクト)
第一印象は「とにかく起動が早い、きびきび動く」というものでした。重いデータを開いてみても保存や読み込みで引っかかりもありません。この速度に慣れると外付けHDDやNAS、クラウドサービスに接続した際のもたつきでストレスを感じることになるかもしれません。
▽バッテリー
メーカーでは最大約16.8時間のバッテリ駆動&急速充電対応と謳っていました。
あくまでメーカー公称値なので実際にどうなのかが気になるところです。
明るさを50%程度に設定し普段使い(ワードやエクセルでの企画書作成、画像編集、記事執筆など)、昼に休憩時間をはさみつつ朝9時(100%)から夕方18時までの利用で残り30%程度。重い作業をすると消費電力が上がりますがU版(省電圧)CPU搭載のため性能と消費電力をうまくまとめている印象です。
外出先(特に屋外)などでは画面輝度をあげるため電力消費が激しくなるはずですが、それでも満足のいく数値となりました。またメーカー公表どおり充電時間が早いのもポイントが高いです。急速充電は急な外出時にありがたい機能のひとつですね。
▽光学ドライブ
モバイルパソコンにドライブレスが当たり前の昨今、USB外付け光学ドライブで間に合います。メーカーでもオプション品として用意してありますが、Windows10であれば同一ネットワークにある別のパソコンから拝借することも可能なので敢えて購入するメリットはありません。
▽セキュリティー
顔認証ソフトウェア「NeoFace Monitor」を選択した場合、Webカメラを利用しての顔認証ログオンが可能となります。
また、指紋認証も搭載しているのでセキュリティの厳しい環境での導入にも最適です。(※要構成時選択)
▽通信機能
WiFiは高速通信を実現するac対応となっています。IEEE802.11a/b/g/n/ac LTE を搭載。
また、WiFiだけでなくLTEを搭載しているので外出先に持ち出しが楽になります。
LTE通信は一度設定すればモバイルルータ不要なのでルータの電池残量を気にする必要もなく、ルータの持参忘れや置き忘れの心配もありません。このLTE通信はMicroSIM/nanoSIMに対応(排他利用)しているのでSIMの種類を気にする必要もなくモバイルルータから抜き出したSIMやタブレットで利用していたSIMなども変更申請不要で利用可能です。もちろんMVNOなどの格安SIMを利用することもできるので選択肢が広いのも特徴です。
○総評
総評としては何といってもNEC製。育ちの良さが表れているような機種というのが第一印象でした。
質感、外観、使用感、性能はいずれも満足のいく出来栄えかと思います。
不満点と言えばWindows機でありながらメモリが増設不可の固定である点。この点については各メーカーとも最近の流行りなので仕方ないとも言えますが8GBあれば一般レベルでは余裕があります。欲を言うなら増設できない代わりにヘビーユーザー向けに16GBを選択できるようにして欲しかったですね。
それ以外では非常に満足のいく構成となっていました。防滴キーボードにしても左側配置のインターフェースにしてもユーザー目線での物づくりを意識している印象を受けます。また特にLTEのSIMスロットがMicroSIM/nanoSIMに対応している点は非常に評価できるポイントです。
紹介の機種は下記にてレンタルでご利用いただけます。