レッツノートの系譜と正当進化のCF-SV7
現在、オフィスで利用されているモバイルパソコンの多くがノートPC(モバイルPC・ラップトップPC)です。普段はデスクの上での作業で省スペースに貢献し、客先への訪問や出張でも作業環境を持っていくことができるという利点があるためですが、ビジネス用モバイルノートPCのシェアの多くを占めるのがこのレッツノートCF-SVシリーズとなります。
このレッツノートの歴史は意外にも古く、今から20年以上も昔、1996年まで遡ります。
Windows95が発売されてわずか1年、まだモバイルPCという概念が社会的に定着していない時期でもありました。
初代レッツノートAL-N1は10.4カラー液晶(TFT/800×600/65,536色)、Windows95、Pentium120MHz、16MBメモリ、810MB HDD、3.5FDDが搭載され業界最軽量の1.47kgでした。当時としてはハイスペックな国産ノート型パソコンとして鮮烈デビューとなりました。
そんな初代のあとを引き継いだのが伝説ともなった2代目レッツノート「AL-N2」です。
AL-N2(1999年発売)
MMX Pentium(150MHz)、32MBメモリ、1.6GB HDD、10.4カラー液晶(TFT/800×600/65,536色)、Windows 95が主なスペックですが、何といっても最大の特徴ともいえるのが光学式トラックボールの搭載でしょう。それまでのノートパソコンの最大の弱点でもあるポインティングデバイスの使いにくさから解放され大人気を博したことは当時を知る人の記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
そんなレッツノートの正当な系譜にこのCF-SV7シリーズはあります。第8世代のIntel製 Corei5 クアッドコアCPU(4コア8スレッド)、光学ドライブを搭載しながらも1kgを切る世界最軽量のモバイルノートです。
今回はメーカーさんにお願いして最新のCF-SV7をお借りしたので細部チェックを踏まえながらレビューしていきます。
外観
シルバーに塗装され慣れ親しんだ凹凸のある天板、左右に振り分けられた各インターフェースなど見た目は従来のレッツノートとあまり変化有りません。
ビジネスシーンで求められるのは慣れた使い勝手と最新性能。外観に大きく変化を求めず中身を刷新するそれは歴史あるレッツノートならではの経験則に基づく保守的な姿勢として評価できる点でしょう。
質感とインプレッション
持ってみた第一印象はやはり「軽い」の一言に尽きます。ボディーは一見するとプラスチック感がありますが、その剛性に関しては同社の超剛性モバイルパソコン「タフブック」で培った技術をフィードバック、お馴染の天板プレスライン(天板の凹凸)とアルミよりも軽量で丈夫なマグネシウム合金製のボディーと相まって強度を確保しています。
満員電車での移動も想定して設計されているため特殊環境での利用でもない限りは剛性に不安はありません。
インターフェース
左右に振り分けられた各インターフェースは
左側:電源入力(充電)、熱放出フィン、HDMI出力、USB(Aポート)x1、WiFiスイッチ
右側:USB(Aポート)x2、VGA出力、有線LANポート、ケンジントンロック となっています。
背面に端子類は無くすっきりした印象ですが、フロントには3.5mmミニピンジャックとメディア系のインターフェースSDカードスロットおよび光学ドライブが奢られています。
古さを感じさせるインターフェースに不満
良い意味で保守的なレッツノートですが、やはりインターフェースに置いて古さ、不便を感じることは否めません。
何より残念な点は右側にあるポート類でしょう。手前側USBはともかく、右側中央に配置されたVGA端子は外出先でプレゼンの多いビジネスマンにとっては致命的。筆者も実際にプレゼンを想定して接続してみたのですが、いまだにVGAが主流のビジネスシーンではマウスの稼働スペース(右利きの場合)と干渉して非常に邪魔でした。救いはHDMIが左側に配置されていることですがこれも客先の環境次第でしょう。また、3基あるUSBポートのうち1基で良いのでこれからの時代を見据えたUSB-Cポートを搭載して欲しいものです。
機能・性能
次に機能面を見てみましょう。まず気になる構成ですが、今回のデモ機では次のような構成となっています。
仕様概略
OS | Windows10Pro |
CPU | Intel i5-8350U(4コア8スレッド) |
メモリ | 8GB |
ストレージ | SATA SSD 256GB |
液晶画面 | WUXGA(1920x1200)16:10 ノングレア液晶 |
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CPU
CPUは最新の第8世代Core i5 8350Uを搭載しています。U型番なので低電圧版でクロック数こそ1.7GHzと低いですが、4コア8スレッドとなっています。単純にコア数を増やせばよいというものでもありませんが、Core i5であっても第8世代です。第7世代で言うCore i7上位モデルと同等性能なので不満があるどころか余裕すらあります。これなら低電圧版であっても重い作業も楽々処理が可能でしょう。
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液晶
電源を入れると12.1インチの液晶のはずがなぜか広い印象を受けました。起動後に確認してみたのですが、それもそのはず通常のモバイルPCは16:9であるのに対しこのCF-SV7については16:10、WUXGA(解像度1920×1200)と縦の長さに余裕があります。
一般的なFHD液晶を搭載したパソコンと比べるとその解像度は120pxの余裕があります。この120pxのおかげでビジネス用途では必須のエクセルなどの表計算ソフトでも余裕を持った表示が可能となります。また、画面はビジネスPCとしては嬉しいアンチグレアとなります。アンチグレアのため作業中でも蛍光灯の映りこみで不快な思いをすることもありません。視野角も十分に確保されており広い画面と相まって作業効率の向上につながっています。
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キーボード
キーボードは一般的なノートPCの枠からは外れていませんがボディーサイズが12.1インチということもあり10キーこそついていないものの、キーピッチ:19mm(横)/16mm(縦)、2mmのストロークで打ちにくい印象はありません。とは言ってもオフィス内での利用ならば別途10キー付きのキーボードを準備することで使い勝手がよくなるのはノート故の宿命でしょう。
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SSD
256GBのSSDは様々なファイルを余裕をもって利用できます。もともとSSD搭載PCは特別大きなデータはファイルサーバーまたはクラウド上に置くことを前提に設計されていますが256GBあればOSの専有部分を除いても実質的な空き容量200GBを超えているのでよほど専門的な利用でもない限りドキュメントや画像データなどの利用で困ることは無いと思われます。
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メモリ
2018年のパソコンではもはや当たり前となった8GBメモリを搭載しています。OSなどのシステムで2GB~3GB程度消費してしまうとしてもまだ余裕があり、CPUの性能、SSDの速度と相まってストレスを感じることはありません。
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OS
ビジネスPCとして当然ながらWindows10Pro(x64)を採用しています。ドメイングループに属したりセキュリティーを強化したりなにかと条件が厳しいビジネス用途にマッチし、各パーツの性能を十分に引き出しています。
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バッテリー
S型バッテリーで駆動時間は公証値13.5時間となっています。例によって70%換算が適正値としても新幹線や飛行機などで遠距離出張の多いビジネスマンも満足のいく仕様となっています。
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光学ドライブ
重量999gにもかかわらずDVDマルチドライブを搭載しています。これにより外出先で受け取った資料メディアもその場で確認することができるため即時対応が求められる現場での活躍が期待できます。
実機レビュー総評
第8世代CPU搭載となり中身が大きく進化したSV7シリーズですが、ビジネスシーンで活躍することは間違いありません。広い画面はエクセルなど表計算ソフトやプログラムソースコードの表示に有利です。当然ながらWindows10搭載なためWindows7からのリプレイスにも最適な一台でしょう。サポート面においても法人モデルなので4年保証になっており万一の際のビジネスに大きな支障をきたすこともありません。国内大手メーカーということもあり安心して利用することができます。
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