この記事にはプロモーション内容が含まれています。
皆さんは普段ご覧になっているゲーム配信や実況動画の「裏側」を意識したことはあるでしょうか。画面の向こうで華やかに活躍する配信者ですが、その配信環境には緻密な準備と高性能な機材が隠されています。特に、画質の美しさや動きの滑らかさは視聴者の満足度を大きく左右し、配信者としての信頼感にも直結します。
人気配信者の映像が「くっきり鮮やか」「ヌルヌル動く」と感じられるのは、単にゲーム機本体やPCの性能が高いからではありません。その裏には キャプチャーボード という重要な機材の存在があります。キャプチャーボードとは、ゲーム機や PCの映像を取り込み、配信ソフトに映し出すための装置のことです。安価なモデルでも最低限の配信は可能ですが、画質・応答速度・安定性に大きな違いが出るのは避けられません。だからこそ、真剣に配信へ取り組むクリエイターほど、上位モデルのキャプチャーボードを選ぶ傾向にあります。
キャプチャーボード真っ向勝負!比較機種を選定
キャプチャーボードには入門機から上級機まで幅広いラインナップがあります。今回の比較機種の選定にはスペックを見比べて上位のものを選定したいところですが、高額なものは 4万円、5万円、あるいはそれ以上の製品も存在しますし、初心者向けのモデルでは1万円前後とリーズナブルな製品もあります。入門モデルは価格が安くシンプルで扱いやすい一方、解像度やフレームレート が制限されることが多く、長く使うには物足りなさを感じるケースもあります。そこで一定基準を設け、「初心者を脱したい配信者でも手が届く高性能なキャプチャボード」をコンセプトとして4K対応で処理性能、市場価格が近い製品をチョイスしていきます。
今回取り上げるのは、AVerMediaの GC553Pro(Live Gamer Ultra S)と、Elgatoの HD60X。どちらの製品も各メーカーの主力級モデルで、購入すれば「性能不足で後悔する」ということが少なく、配信活動を本格的に進めたい方に最適な選択肢であると言えるでしょう。4Kや高フレームレート(※fps:1秒間に表示されるコマ数のこと)への対応、HDR(※明暗差を鮮やかに表現する技術)や VRR(※映像のズレやカクつきを抑える可変リフレッシュレート)のサポートなど、最新世代のゲーム機や高性能 PC映像の取り込みにふさわしい仕様を備えています。本記事では、GC553Pro と HD60X の特徴や性能を比較し、皆さんの配信スタイルに合った一台を見つけるお手伝いをします。
とはいえ「まずはお試しで……」「最初は安価なモデルで……」という場合には、AVerMedia からは GC311G2(StreamLine MINI+) 、Elgato では Game Capture Neo といったエントリーモデルもあるのでニーズに合わせたチョイスも可能です。下記に2社の製品相関図を乗せておきますので製品選びの参考にしてみてください。
最高録画解像度で見る 2社の製品相関

ゲームキャプチャ機器を選定するうえで重要な要素は 「ゲームソースの入力」「モニタへの出力」「PCへの取り込み」です。そしてこれらをサポートする「インターフェース(の規格)」と「ソフトウェア」が重要になります。下記に両者の特徴を書き出して見比べてみましょう。
![]() |
項 目 |
![]() |
|---|---|---|
| 4K 60fps (HDR/VRR) 1440 144fps (HDR/VRR) 1080 240fps (HDR/VRR) |
パススルー出力 | 4K 60fps (HDR/VRR) 1440 120fps (HDR/VRR) 1080 240fps (HDR/VRR) |
| 4K 60fps / 1440 144fps / 1080 240fps 1440 30fps (HDR) / 1080 60fps (HDR) |
録画(キャプチャ)性能 | 4K 30fps / 1440 60fps / 1080 60fps/30fps (HDR) |
| Streaming Center/OBS | ソフトウェア | Elgato 4K Capture Utility / OBS |
| HDMI入力 / HDMI出力 / USB3.2 Gen1 Type-C | インターフェース | HDMI入力 / HDMI出力 / USB3.0 Type-C 3.5mm LINE In |
| Ultra Wide 3440×1440 / 2560×1080 対応 | Ultra Wide 解像度対応 | なし |
特徴について補足
パススルー出力(モニタ出力)
まず画面表示ですが、どちらの製品もパススルーに対応しています。パススルー出力対応のおかげで録画しながらでも滑らかで遅延のない映像でゲームをプレイできます。出力に関して解像度 1440あたりで若干の差があるものの両社の性能はほぼ互角で FHD240fps ~ 4K60fps まで対応しています。普及帯の FHD ゲーミングモニタ であれば最大 240fpsまで、上位ゲーマーのみなさんがよく使う 1440モニタでも滑らかな表示が可能です。
録画(キャプチャ)性能
導入にあたり勘違いされる方が多いのですが、これらの製品単体で録画ができるわけではありません。製品はゲームキャプチャ機器なので、ここで言う「録画性能」とは取り込んだ映像をPCに送り出す際の映像の解像度のことです。ユーザーはこの PCに取り込んだ映像を使って録画や配信を行うことになります。肝心の性能面ですが、フルHD解像度での違いはありませんが、最高解像度になると GC553Pro は 4K60fps に対応していますが、HD60 X は 4K30fps までとなります。
ソフトウェア
どちらもメーカーより専用ソフトウェアが公開されています。ソフトウェアについては 後程詳しく説明 しますのでご確認ください。
インターフェース
GC553Pro 公式ページでは HDMI入力/出力とも HDIM 2.0 となっています。PCへの転送には USB 3.2 Gen1 Type-C なので最大で 5Gbps をサポートしています。対する HD60 X ですが、公式ページには HDMIバージョンが記載されていません。ですが、同機の録画性能 1440p120 / 1080p240 が HDMI 2.0 の規格範囲内であり 4K60fps以上の解像度に対応していないことを考えると HDMI 2.0 と推測されます。同ページの仕様書では USB が USB 3.0 とありますが、USB 3.0 は旧名称なので現代表記で USB 3.2 Gen1 ということになります。その他のインターフェースとして、HD60 X には GC553Pro には無い 3.5mm アナログ Audio入力端子※ があります。
※ 通常は映像と音声を HDMIケーブル1本で転送するのでゲーム音の取り込みには影響しません。
HDMI のバージョンについて
HDMI にはバージョンが存在します。ケーブルを見ると同じ形状なのでどれも同じと考えがちですが、HDMI 1.4 / HDMI 2.0 / HDMI 2.1 のようになっており、その性能や転送速度も大きく異なります。昔から利用されていたのは HDMI 1.4 (4K30fps/10.2Gbpsまで) でしたが、HDRをサポートする HDMI 2.0 (4K60fps/18Gbpsまで) が登場し、最近では 8Kなど超高画質対応の HDMI 2.1(8K60fps/48Gbpsまで) も登場しています。
Ultra Wide 解像度対応
配信動画やECサイトで見かけるようになった横長のゲーミングディスプレイ。これらは従来の FHD や 4K のような 16:9 ではなく、横幅を広げ変則的な 21:9 となっているものがあります。これらの横幅の広い解像度の代表的な利点として、視野が広くなり FPSゲームなどで索敵しやすいことが挙げられます。ゲーミングキャプチャ機器が Ultra Wide 解像度に対応していることで横に広い解像度のままゲームの本来の画面比率を維持しゲームプレイに最適な環境での録画・配信をサポートします。非対応の場合は左右が見切れてしまったり、上下に黒帯が入るなど強制的に16:9に圧縮されてしまう場合もあります。16:9 以外のワイドディスプレイを利用しているならお勧めの機能の一つです。
製品を見てみよう~開封インプレッション~
| AVerMedia GC553Pro | Elgato HD60 X | |
内容物:GC553Pro本体、USB-Cケーブル、HDMIケーブル、クイックガイド、同社製品案内 |
内容物 (画像はクリックで拡大) |
内容物:HD60X本体、USB-Cケーブル、HDMIケーブル、クイックガイド、ロゴシール |
実寸幅:113.1mm(計測環境により仕様書との誤差があります) |
サイズ (画像はクリックで拡大) |
実寸幅:113.1mm(計測環境により仕様書との誤差があります) |
奥行実寸:66.2mm(計測環境により仕様書との誤差があります) |
サイズ (画像はクリックで拡大) |
奥行実寸:72.6mm(計測環境により仕様書との誤差があります) |
実寸高:25.1mm(計測環境により仕様書との誤差があります) |
サイズ (画像はクリックで拡大) |
実寸高:17.1mm(計測環境により仕様書との誤差があります) |
どちらもパッケージ内容に違いはありません。それぞれ「本体、USB-Cケーブル、HDMIケーブル、ガイドなどの紙類」の構成となっています。検証機のカラーはどちらもブラック(※)で、ケーブル色も本体同色になっています。
※今回の GC553Pro 検証機は GC553PBK BK なので 黒い筐体のモデルですが、ラインナップを見るとホワイトモデル(GC553PWH)もあるようです。最近はゲーミング環境をまるごと白で統一するユーザーも一定数いるので環境に応じてチョイス可能です。なお、HD60Xはブラックのみの展開です。
サイズなど
実寸は画像をご覧いただくとして、本体サイズも同様で大きな違いはなく手のひらサイズとなっています。長辺11cm、短辺7cmなのでフットプリントは例えるなら一昔前の小型スマホ程度と考えてください。
※実際の計測では環境や計測機材により仕様書との誤差がありますが、本記事では仕様書および公式サイト情報を正しい情報として扱っています。
| AVerMedia GC553Pro | Elgato HD60 X | |
| 約113 x 66 x 26 (mm) | 寸法(幅x奥行x高さ) | 約112 x 72 x 18 (mm) |
| 約99g | 質量 | 約91g |
| GC553Pro本体、USB-Cケーブル、HDMIケーブル、クイックガイド、同社製品案内 | 同梱品 | HD60X本体、USB-Cケーブル、HDMIケーブル、クイックガイド、メーカーロゴシール |
ユーザーガイド・マニュアル類
パッケージにはケーブル類が同梱されている一方でマニュアル類は充実していない感があります。WEBページあるいは箱の内部などに結線図が印刷されているものの、何も見ずに設定を進めていくと「接続したあとはどうするの?」となってしまいます。マニュアルはダウンロードを前提としているのですが、内容も英語が基本となっています。
ソフトウェア・アプリケーション
ソフトウェアはファームウェアからユーティリティソフトまですべてダウンロード提供のみとなりますが、こちらは細かいバージョンアップが頻繁に行われるのでユーザーは常に最新版を入手可能となります。
使ってみる
実際に配信PC(キャプチャ画像を受け取る側)と接続するわけですが、対応スペックはどうでしょうか。機器接続のほか、配信用および取り込み用ソフトウェアをインストールすることになるのでその辺りから見ていきましょう。
双方のサイトで必要な PCスペックについて記述がありました。が、それによると……
![]() |
機種比較 |
![]() |
|---|---|---|
|
デスクトップ ノート |
Windows |
デスクトップ ノートについての記載なし |
|
Intel CPU Appleシリコン 4K60 MJPEGのキャプチャの場合: M1 Ultra、 M2 Ultra 以上。 |
macOS |
macOS 11 Big Sur またはそれ以降 |
GC553Pro
GC553Pro ですが、そこそこ古い世代の PCでも対象としているようです。さすがにノートPCの場合はデスクトップほどのパワーはありませんから Core i7 7700HQ(4コア8スレ) 以上なので要求スペックは低くはありません。とは言え、Windows に関して言えば Windows 10 のサポートが切れることもあり、実質的に Windows 11 正式対応 PC(Intel 第8世代以降、Ryzen 3000番台以降)デスクトップや 12世代以降 Core i7 や CoreUltra あたりのノートなら動作すると考えればよさそうです。
HD60 X
HD60 X もデスクトップでは同様に Intel 第6世代 Core i5(6000番台)以降 となっていますが、ノートの対応について記載はありませんでした。気になる点としては Windows 11 の動作で 8GBは必要な状況を考えると必要メモリが 4GB はあきらかに少ないように思います。実際には AVerMedia GC553Pro と同じ要求スペックと考えておけば問題ないと思いますが、購入前情報としてWEBサイトの情報が不足している感が否めません。
機器の接続
| AVerMedia GC553Pro | 機種比較 | Elgato HD60 X |
|---|---|---|
|
|
接続イメージ |
|
![]() |
機器との接続イメージ |
![]() |
上記に接続イメージ図を掲載しておきますが、基本的な接続はどちらの機種も同じです。まずゲーム機からHDMI入力、次にゲームプレイ用の液晶ディスプレイにHDMI出力、そしてホストPC(配信や録画用のPC)とは USB-C 接続になります。機器との接続イメージ(写真)では実際に接続した場合はこんな感じになるという例です。キャプチャカード本体への電源供給がUSB経由で行われるためか、3本のケーブルだけなので意外とシンプルにまとまっていることがわかります。
プレイヤーは液晶ディスプレイに表示された画面を見ながらプレイすることになりますが、双方の機種でパススルー出力となっているため表示遅延が起きないので快適にプレイが可能です。なお、ホストPCに出力されるデータは若干の遅延が生じてしまうためホストPCの画面を見ながらのプレイには向きません。
変換ケーブル利用はNG
筆者が普段からノートPCで利用している USB-C to HDMI ケーブル(PCと液晶ディスプレイを接続する)でゲーム機とキャプチャボードを接続できるかどうか試してみましたが、結果としてNGとなりました。これはUSB-C を HDMIに変換されたことによって入力ソースとしての想定信号と異なってしまうためです。通電(なんらかの信号を送り出している)はしているようですが、Nintendo でも iPadでも利用不可でした。このためキャプチャボード側が HDMIであれば HDMIを用いることが前提となり、今回の検証では Nintendo Switch を純正ドックに接続し、HDMI経由でゲームキャプチャ機と接続しています。要するに正常動作を期待するなら 純正ケーブルを利用 するということです。ゲーム機とキャプチャ機とで USB-C 同士で取り込みたい場合は 本誌過去記事でご紹介した GC515 のようなType-C で直接取り込みできるキャプチャ機器を利用することになります。
ソフトウェア
![]() |
機種比較 |
![]() |
|---|---|---|
| ドキュメント類 | ||
| ソフトウェア |
ユーザーズガイド・ユーザーマニュアル類は……
上記はユーザーガイドおよびソフトウェアのダウンロードリンクになります。ユーザーガイドは開いていただけるとわかるのですが、GC553Pro クイックガイドではマルチラングエッジとなっていますが、基本的に英語での記述になります。PC関連ではゲームキャプチャに限らず、本体でも周辺機器でも「設定が難しい」や「扱いにくい」と感じてしまう原因の一つに言語の壁があります。それほど難しい内容ではないものの、苦手意識のある方も多いのではないでしょうか。グローバル展開なので仕方ない部分もありますが、この辺りを丁寧にローカライズされると製品の印象は大きく変わるように感じました。
ソフトウェア
利用用途により必要なソフトウェア構成が異なりますが、基本ともいえる。上記ダウンロードページから必要なソフトウェアをダウンロードして利用することになります。今回の検証では下記をダウンロードしました。
| AVerMedia GC553Pro | Elgato HD60 X | |
| AVerMedia_Streaming_Center – v1.6.65.1 AssistCentralPro_v4.0.73 |
今回ダウンロードした ソフトウェア |
Elgato Studio1.0.2 4K CAPTURE UTILITY 1.7.15 |
双方共通でもしメーカーさんにお願いできるとすれば【ソフトウェアの使い方ガイド・マニュアルを充実させてほしい】ですね。慣れていないあるいは初心者であれば接続設定を乗り越えたとしても必ずどのソフトウェアをダウンロードするのかわからず、結局は動画投稿サイトや個人ブログを閲覧して使い方の情報収集することになります。
GC553Proを使ってみた
実際に使ってみましょう。それぞれ同一環境下で実験しています。
検証環境
| 接続機器(入力) | Nintendo Switch / Apple iPad mini A17Pro / ゲーミングPCなどで検証 |
|---|---|
| ホストPC(配信や録画用) | Windows 11 Pro / Ryzen 7 5800X / GeForce RTX3060Ti / 32GB(16GBx2) メモリ / M.2 1TB SSD / 27型 4K 120Hz 液晶 |
| 映像出力(パススルー) | 24型 FHD 144Hz 液晶 |
| AVerMedia GC553Pro | Elgato HD60 X | |
AVerMedia は Assist Central Pro を併用し細かい調整が可能 |
運用画面 |
Elgato 設定はシンプルで初心者に優しい |
筆者主観による評価
実際に使った感想ですが、それぞれの特徴の違いがはっきりしています。
- GC553Pro:4K録画が驚くほど滑らか、FPSでもカクつかないが、自分好みにソフトウェア設定を煮詰めていく(細かい設定ができる)ことが可能。
- HD60X:普段の配信には十分な性能だが、高フレーム領域の録画はやや苦手。ソフトウェアは設定項目が少ないのでとにかく簡単。
使用感を交えて★評価(基準を3として加点方式)していきます。詳細については下記にまとめてみましたのでご一読ください。
| AVerMedia GC553Pro | Elgato HD60 X | |
|
高画質・高フレームレートで映像にこだわるなら間違いなく GC553Pro をお勧めします。FHD~4Kまでどのシーンでも画質が驚くほど綺麗なのが印象的でした。本件評価外でゲーミングPCとも接続してみましたがフォートナイトや原神などのゲームでもカクツキはなかったです。配信から録画までマルチにこなせる一台でしょう。もちろんHDRにも対応しています。ただし、許容範囲とはいえ高負荷時では若干本体温度が上がるのが気になりました。 4K 60fps / 1440 144fpsでの常用(+1)、高負荷時も表示が重くならない(+1) |
高フレーム・高画質領域 ゲーミングPC |
本機の主戦場はFHD~2.5K領域となります。こちらの機種も HDRにも対応していますが、4Kでの常用はあまり得意ではなさそう(できないとは言ってない)。たまに4K30fpsを試してみるといった使い方であれば問題はないでしょう。逆説的に言えば 動画配信がメインで4Kでの運用が要らないなら選択するのも悪くありません。こちらもPCゲームをプレイしてみましたが、1440 までの利用であれば高フレームレートでもストレスなく使用できます。 1440 120fpsでの常用(+1) |
![]() |
![]() |
|
|
GC553Pro はリビングにあるような家庭用大型テレビや FHDクラスのディスプレイとの接続では気づきませんが、高画質で高フレーム対応のディスプレイ環境ではその真価を発揮することになります。高解像度でキャプチャしながらのパススルー出力でもフレームを落とすことなく表示されるものいいですね。配信しながらも画質状況を管理したいユーザーに最適ではないでしょうか。 出力は 4K 60fps パススルーに対応(+1)、UltraWide対応(+1) |
パススルー ゲームプレイ |
こちらもパススルー出力では安定した動作を見せています。GC553Pro 同様に 4K60fpsまでのパススルーに対応しているので高画質で高フレーム対応のディスプレイ環境ではその真価を発揮することになります。残念なのは最高画質の 4K60fpsのモニタ出力しながらの録画はフレームレートが落ちてしまうことです。HD60 X は接続してすぐに利用したい人向けといった印象で、設定を煮詰めて云々というよりは配信や実況に集中したい人に向いた製品です。 出力は 4K 60fps パススルーに対応(+1) |
![]() |
![]() |
|
|
この項目では配信設定(本機+専用ソフトウェア)で見ていくことにします。専用ソフトウェアは細かい設定ができるので中上級者でも不満が出ることはないでしょう。設定を詰めればこれでミドルクラスのキャプチャボードなのか?と感心させられる場面も多くあり興味が尽きません。ソフトウェアエンコード方式を採用しており、AVerMedia製 ソフトウェア Streaming Center やOBSで録画する場合、H.264、H.265 も選択可能なため、用途に応じて最適な画質設定が行えます。設定項目が多い分、公式のソフトウェア解説やマニュアルなどが欲しいですね。 設定次第では上位モデルと遜色ない性能に(+1) |
配信 |
こちらも配信設定(本機+専用ソフトウェア)で見ていくことにします。まず、ソフトウェアはセットアップが簡単です。「簡単」と言う言葉をどう捉えるかにもよりますが、設定項目が少ないということもあり設定で迷うことはありませんが、中上級者で細かい調整がしたい方にとっては不満が出る場面もありそうです。逆説的に考えれば設定を詰めずに利用するのであれば初心者に優しい仕様となります。設定で迷うことは少ないですが、残念ながらこちらもソフトウェアのマニュアルが充実しているとは言えません。今後に期待ですね。 シンプルなソフトウェア設定で迷うことがない(+1) |
![]() |
![]() |
|
|
本機の録画機能は非常に強力で、一台で FHD(FHD240fps)から 4K領域(4K60fps)までオールレンジでカバーしています。録画時に4K高フレームで保存しておけば FHDでクロップして動画を作成する等、編集の自由が効きます。録画フォーマットは YUY2, NV12, RGB24, P010(HDR), MJPEG となります。昨今の視聴環境も高スペック化しており現代の編集環境では高画質・高精彩なソースが求められるので P010 (HDR・10bit) に対応しているのは大きなアドバンテージと言えます。 多彩な録画フォーマット(+1)、4K 60fpsでの録画(+1) |
録画と編集の親和性 |
HD60 X は 4K30fps、FHD120fps をサポートしています。このため GC553Pro には一歩及ばず高解像度領域よりもFHDあたりが主領域となります。保存フォーマットは H.264 および HEVC (H.265) に対応しています。これらは圧縮技術によりファイルサイズが小さく癖のない映像で利用者が多いのも特徴ですが、編集時には再圧縮劣化や処理の重さが発生しやすいため、AVerMedia のような多彩なフォーマットに対応してほしかったです。
|
![]() |
![]() |
|
|
現在(2025年10月初旬)の価格は20,000円前後(価格コム調べ)。市場価格では本件比較対象製品 HD60X より若干安価あるいは同一価格となります。4K60fps録画、多彩な記録フォーマット、Ultra Wide対応などコストパフォーマンスに優れた製品で同一価格帯であれば間違いなく「買い」です。 この価格で上位クラスの性能(+1)、ライバルを寄せ付けない価格設定(+1) |
価格 |
現在(2025年10月初旬)の価格は22,000円前後(価格コム調べ)。市場価格では本件比較対象製品 GC553Pro より若干上回るものの概ね同一価格帯となります。時折行われる ECサイト・ECモール等でのキャンペーンやクーポンをうまく活用することで2万円を切る価格で購入することも可能です。 初中級者向けのキャプチャデバイスとしてコスパが良い(+1) |
![]() |
![]() |
|
| GC553Pro は、アクション性の高いゲームやFPSタイトルで特に有効だと感じました。検証後にゲーミングPCを接続し原神をプレイしてみましたが、キャラクターが素早く動くシーンや爆発シーン、魔法エフェクトの多いシーンでも出力側の映像(録画や配信用映像)も遅延が少ないのでプレイしている感覚で録画できていたように思います。 GC553Pro は高フレーム・高画質領域を1台でカバーするので、コンシューマゲーム機はもちろん、フレームレートが重要視されがちな PCゲームとの相性は抜群です。 | 総合評価 | HD60X は、シンプルに配信を始めたいなら最適なアイテムではないでしょうか。筆者の個人的な感想としてはコンシューマゲーム機では大きな違いはないものの、フレームレートの幅が限られるため、PCゲームなどの高フレーム・高画質領域でも運用するなら HD60X は候補から外れます。今回の比較対象機 AVerMedia GC553Pro を利用したほうが快適です。あるいは金銭的な負担は大きくなりますが HD60X の上位モデルで高フレーム・高画質対応の 4KS / 4KX あたりが候補に上るでしょうか。 |
結論|どちらを選ぶべき?
ここまで比較しながら見てきましたが、ずばりどちらを選んだほうが良いのか。皆さん気になるところでしょう。これまで見てきた性能についてはどのような結果になっているか星をグラフに変換してみました。
どちらを購入するかは使用目的や自身の環境を明確に理解する
キャプチャーボードは目的や用途に合せて購入することがベストといえます。前述のように価格が拮抗しているので映像の美しさ・滑らかさ・将来性を重視するなら断然 AVerMedia GC553Pro です。GC553Pro は 4K域での本格配信や録画に対応しているので永く相棒とし活躍してくれます。
一方で初心者でまずは配信を始めてみたいという方なら Elgato HD60 X の選択も悪くはありません。HD60X は主戦場を 4Kではなく FHD(1080p)の配信に置き、稀に4Kといった使い方であれば十分な性能を備えていますが、今回比較した GC553Pro の性能が突出しているので長い目で両者を比較すると HD60Xは選択肢からは外れることになります。
カスタマーサポート(評価外項目ですが)
製品を購入する上で忘れてならない重要な項目がカスタマーサポートではないでしょうか。どちらも国外メーカー製品ということで日本語に対応しているかは気になるところ。筆者が調べてみたところ下記のような結果に。初期不良なら販売店に申し出れば何とかなりそうですが、万一の故障や不具合、あるいは仕様問い合わせなどでお世話になることもありますのでこちらも購入時の参考にしてください。
| AVerMedia | Elgato | |
| AVerMedia の 国内サポートは完全日本語対応 なのが嬉しいです。WEBサイトも機械的な翻訳ではなくしっかりと日本語のページを作りこんであります。あえてアラ捜しをするならば AVerMedia の製品は類似型番(型式が同じでも G2とPro があったり)が多いのでソフトウェアのダウンロードや問い合わせ時に混乱してしまう恐れがあることです。 | カスタマーサポート | 残念ながら公式WEBページに関しては要改善レベルです。WEBサイトは機械的に日本語化されていますが未完ページも多く、翻訳精度もそれほど高くありません。AIによる自動チャットを除くと問い合わせは基本英語となっています。 国内正規品(並行輸入品は不可)の日本語でのサポートは(正規品外装箱シールでURL記載)ソフトバンク C&S 株式会社の Elgato専用お問い合わせフォーム でひっそりと受け付けています。 |
ここで言うカスタマーサポートは製品が国内正規品であることを前提としています。格安で販売されている並行輸入品や中古品などの場合は既定の保証やサポートを受けられなくなる恐れがありますのでご注意ください。
編集後記
キャプチャーボード選びは概ね「映像の美しさ」や「使いやすさ」が基準になります。今回比較した2つの機種では同価格帯、同等基本性能ながらもそれぞれの方向性が異なっていることがわかりました。ライトユーザーであればどちらの製品であっても問題なく利用可能ですが、映像美と滑らかさを追求するなら AVerMedia GC553Pro に軍配が上がります。高性能なゲーミング PCを利用している場合、HD60Xでは高フレーム・高解像度領域で性能に不足を感じることになりますし、この2機種で Ultra Wide に対応しているのは GC553Pro だけです。購入すれば数年は使い続けるアイテムなので将来を見据えて長く使えるモデルを探している方はそのあたりを視野に入れ検討すると良いでしょう。
GC553Pro は下記店舗で特価お取扱中


















