ビジネスを取り巻く環境が不透明さを増し、ますます変化のスピードが高まるなかで、デジタルテクノロジーを活用したビジネス変革(DX)によってさらなる競争力を確保することが、中堅・中小企業にとっても大きな経営課題の一つとなっています。
そして、変化にスピーディに対応できる IT リソースを提供するニーズの高まりにともない、IT インフラとしてのハイパーコンバージドインフラ(HCI)に注目が集まっています。
HCI は、サーバー仮想化やデスクトップ仮想化(VDI)に適した IT インフラ基盤です。汎用的な IA サーバーをベースに、コンピューティング機能とストレージ機能が統合され、さらに、仮想化基盤の構築、運用に必要なソフトウェアがパッケージされています。
従来の仮想化基盤は、「物理サーバー」と「SAN(Storage Area Network)」「共有ストレージ装置」による3層で構成されていました。しかし、物理的に分断されているがゆえに、管理が煩雑となり、「複雑」「柔軟性に欠ける」といったデメリットが指摘されていました。
この点、HCI なら、サーバーと基盤ソフトウェアだけの非常にシンプルな構成で仮想化を実現することができ、仮想サーバー環境の構築や拡張をスピーディに行えることに加え、導入と運用工数を削減しながら、スピーディに IT 環境を構築するメリットが期待されます。
中堅・中小企業においても、HCI の検討が進んでいます。ある調査では、過去3年以内にオンプレミスサーバーを新規導入した中堅・中小企業のうち、 約 30% が HCI を導入しており、今後3年以内にオンプレミスサーバーを新規導入すると回答した中堅・中小企業のうち、HCI を導入すると回答した企業の割合は約 37%となり、それぞれ階層化ストレージを選択した企業の割合を上回っていることがわかりました。
HCI といえば、以前は高価なイメージがあったものの、近年では比較的安価に導入できるものも増えてきており、中堅・中小企業でも検討が進んでいます。
また、中堅・中小企業の多くは IT インフラの運用管理を担当する IT 部門を兼任あるいは一人で担当しているケースが多く、サーバーの導入・運用に多くのスキルや知識、時間などを要することから、慢性的な IT 人材不足に悩む中堅・中小企業にとって、シンプルな運用を可能にする HCI はメリットが大きいのです。
では、具体的に導入企業の声として挙げられる HCI のメリットにはどのようなものがあるでしょうか。
まず、運用管理に関わる工数を軽減するメリットです。HCI はシンプルな構成によって、オンプレミスサーバー導入の課題といわれる「サーバー稼働までに時間がかかる」課題を解決し、サーバー環境を迅速に構築できるメリットが期待できます。また、シンプルな構成により、複数のサーバー、異なるベンダーやサポート窓口といった管理・運用にかかる負荷を軽減することも期待されます。
また、サーバー機器のみによる分散型の構成であるため、可用性を維持するための費用を抑えやすく、サーバー環境の更新や刷新も容易にできるメリットが挙げられます。
そして、無駄な IT 投資を削減できる点もメリットといえるでしょう。従来のオンプレミスのサーバー環境では、CPU やメモリ、ストレージなどのリソースは数年後を見据えた設計が必要となり、それが過剰投資を招く要因の一つになっています。拡張性に優れた HCI は、容易にスモールスタートしスケールアウトしていくことが可能なのです。
中堅・中小企業がビジネス課題に対応した HCI を選定するポイントには大きく3つあります。1つ目は「効率的なデータ管理」です。DX を推進するには、膨大化するデータを効率的に管理していくことは大きな課題です。データ容量はストレージコストにも影響するため、効率的な格納、管理を実現する HCI を選ぶことが重要です。
2つ目は「運用管理の効率性」です。シンプルな運用がメリットの HCI とはいえ、ある程度の管理負荷はかかってしまうもの。そこでポイントとしたいのが、管理ツールなどの利便性です。
そして3つ目は「セキュリティ」です。人的リソースが限られる中堅・中小企業にとってはセキュリティの運用も大きな課題となっています。近年では、大企業とサプライチェーンでつながる中堅・中小企業がサイバー攻撃の標的となるサプライチェーン攻撃なども増えています。そこで HCI のセキュリティ機能も選定のポイントとなるでしょう。
HPE では、規模や用途に応じた HCI ソリューションをラインナップしています。
「HPE SimpliVity」は、最新の HPE ProLiant Gen10 サーバーをベースとした HCI 製品です。データの重複排除や圧縮を全自動で、リアルタイムに処理可能です。極小サイズでデータ管理を行えるため、企業が処理するデジタルデータ量の爆発的な増加が考えられる中で、従来比で約 40 倍という効率的なストレージ利用が可能になります。
また、HPE SimpliVity の運用管理はすべて、VMware vCenter の純正ツールから行えます。これにより、新製品導入にともない発生する新たな管理ツールの習熟や複数のツールの使い分けによる運用の手間などがかかりません。
そして、安全性に対して高い評価を得ている HPE ProLiant サーバーをベースとしているため、BIOS やファームウェアを狙ったサイバー攻撃に対する防御や、改ざんの検知・自動復旧機能を備えています。
HPE Nimble Storage dHCI(分散型 HCI)は、サーバーや、ストレージ、ネットワークスイッチで構成されるハードウェアに、「VMware vSphere / vCenter」や dHCI 専用の Nimble Storage 向けソフトウェアなどが組み合わされたソリューションです。
HCI のメリットである容易なセットアップと拡張性を備え、仮想化の管理も VMware vCenter を利用可能です。また、AI を利用した分析機能 (HPE InfoSight)により、サーバーからストレージまで、また仮想サーバーレベルでの監視・分析が可能です。
Azure Stack HCI は、Windows Server 2019 をベースに仮想化機能として Hyper-V、ストレージ機能として Microsoft S2D を採用し、比較的低コストで導入が可能。かつ、高い運用管理性を備えます。他の HCI と比べて、仮想マシン、ハイパーバイザー、SDS のライセンス費用を削減できる効果が期待できます。
また、Windows Server OS だけでなく Azure Stack HCI OS を使用できます。Azure Stack HCI は、Azure で統一されたハイブリッドクラウド環境を実現できるため、クラウド、オンプレミスそれぞれ適材適所でシステムを使い分けることができます。
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