オフィスで使用されている9割以上のパソコンに搭載されているIntel CPU Core-iシリーズ。
Core-iシリーズには「Intel HD 630」とか「Iris Pro 580」などのグラフィックチップがオンボードで搭載されているのと昨今の製造性能向上で一般ユースでは別途グラフィックカードを選択する必要はなくなった。
だが、クリエイティブな作業環境ではこれらオンボードグラフィックでは心もとない。特に開発環境ならばなおさらである。ではグラフィックカードはどのような場面で活用され、どんな作業を担っているのか。これらを簡単に解説していこう。
グラフィックカードの活躍する環境と製品群
グラフィックカードを必要とする環境とは何か。
ゲームPC、CAD、グラフィック編集、CG/3D/VRなどの特殊開発、動画編集などが思い浮かぶ。また最近では仮想通貨のマイニング用途などでもグラフィックカードが選ばれているようだ。
一口にグラフィックカードと言っても用途に応じて選択することになるのだが、一般流通しているグラフィックカードを選ぶとすればグラフィックチップ供給は下記の2社に絞られるだろう。
nVidia(Geforce/Quadro)
2018年現在、この2社のうち勢いのあるのがnVidia陣営だ。
このnVidiaではPC用として主に2種類のグラフィックチップを製造している。
※nVidia社では上記の他にコンシューマゲーム機用、スマホ用など様々なチップを製造してる。
それがGeforceとQuadro。
おそらくnVidiaは知らなくてもGeforceの名前くらいは聞いたことがあるのではないだろうか。だが、一部マニアを除きGeforceとQuadroの違いを理解している人は少ない。用途に応じて使い分けが必要となるため、パソコンパーツの中でも「高かろう良かろう」が通用しないパーツのひとつでもある。
GeForceとQuadroそれぞれの特徴
大雑把ではあるがそれぞれの特徴を記載しておこう
GeForce
3Dゲーム専用グラフィックカードと言っても過言ではない。多くのタイトルがGeForce利用を前提として開発されているので圧倒的なシェアを誇る。もちろんゲーム用途だけではなくAdobeに代表されるメジャーなツールでもそれなりの力を発揮するため、コンシューマーで迷ったらGeForceを買っておけと言われるほど汎用性がある。
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Quadro
実はGeForceとは双子の兄弟と言ってもよいのだがその性格付けが異なる。QuadroはGeForceとは違いメーカーが介在していない。nVidiaが供給しているだけのため同一型番によるカスタマイズが無く安定した動作が可能となっている。またCADや3D、動画編集、画像編集などに特化したクリエイター御用達となるためゲーム用途には向いていない。ゲーム用途であればGefoceが圧勝するが方向性の違いなのでこれは仕方が無い。CADの動作では独壇場と言ってもよいほど他の追従を許さない驚異的な能力を発揮する。惜しむらくは業務用だけあって非常に高価なことか。
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GeForceとQuadroの違い ~比較表~
Quadro | GeForce | |
---|---|---|
主な用途 | CAD、3D、動画編集など | ゲーム |
API最適化 | OpenGL | DirectX |
発色 | RGB各色10bit 10億6433万色 |
RGB各色8bit 1677万色 |
発売 | nVidia | 各メーカー |
ターゲットユーザー | 3D開発・メディアクリエイター・設計・建築会社等 | 一般コンシューマー |
上記にあるとおりいくら双子と言えども使用目的が異なるため同列での比較は出来ないが、仮に比較するならば
「GeforceではCADが動かないというわけではないがQuadroに比べ遅い(動作しないアプリもある)」
「QuadroでゲームができないわけではないがGeforceほどのパフォーマンスは出ない(動作しないゲームもある)」
といったところだ。これはAPI(DirectX/OpenGL)とドライバの最適化の違いためで覆すことはできない。
どれを選んだらいいの? ~各モデル購入の目安~
違いについては概ね理解できたと思うが、では実際に何を選んだらよいのか。一般的にどちらも機能をフルに発揮するためにはデスクトップ環境での動作が望ましい。ここでもデスクトップ環境を基に解説していこう。
Geforceならば2017年11月現在の最新グラフィックカードが「GeForce® GTX 1080 Ti」など1000番台なので、予算に応じて1000番台のグラフィックボードを選択すればよい。最新のものはVRゲームにも対応しているのも大きな特徴である。
※GeForceは数値が大きいほうが高性能(1080>1070>1060>1050)
※同型番でもより高性能なモデルには末尾にTiがついている
Quadroにおいては2017年11月現在で最新のものが「Quadro® GP100」などのGP型や「Quadro® P6000」などのP型なのでGP型/P型を選択すれば間違いはないだろう。
もちろんGeforceと同じで数値が大きいほうが高性能となっている。(GP100>P6000>P5000>P4000>P2000>P1000)
※アルファベットでの表記なので同じ6000番台でも現行のP型、旧世代のM型、K型などが存在するため購入時には注意が必要。(GP型>P型>M型>K型)
そんなGeforceとQuadroだが、性能差以上に気になるのはやはりその価格差だ。
最高スペック同士で比較してもGeforceが10万円程なのに対してQuadroは100万円を超えてくる。もちろんこれはグラフィックカードの価格でありPC本体は含まれない点をご承知おきいただきたい。
もっとも、世の中にははんだごてを片手にgeforceを改造してQuadroとして利用(製品保証破棄)しているギーグ諸氏も少なからず存在する。これは双子チップ故の宿命であろう。※深い知識があったとしてもお勧めしないが……。
記事:https://mitani-bp.xsrv.jp/ by Gene Tylor(自社WEBサイト2017年11月)
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