iPad 2020 は何が進化したのか 2020年 / 2019年 新旧比較

大きく進化した iPad 2020

先日、Apple 社の iPad シリーズが刷新されました。iPad Air は iPad Pro のようなベゼルレスへと進化し、ノーマルの iPad では外観こそ変化ないものの、その中身を大きく進化させて登場しました。

新しもの好きなユーザーの皆さんの中には既に所持されている方も居ると思いますが、旧モデル(iPad 2019)と比べ何が進化しているのかをスペック表で見ていくことにします。

iPad 2020 / iPad 2019 新旧仕様比較

製品名 iPad (2020) iPad (2019)
発売日 2020年09月 2019年09月
SIM 【Cellular モデルのみ】nanoSIM(Apple SIMに対応)、eSIM
標準価格 【Wi-Fiモデル】32GB: 34,800円、128GB: 44,800円
【Cellular モデル】32GB: 49,800円、128GB: 59,800円
容量 32GB、128GB
搭載OS iPadOS 14 iPadOS
(iPadOS 14 へアップデート対応)
CPU A12 Bionic A10 Fusion/M10
機械化学習 第2世代Neural Engine搭載
パネル 10.2インチ、2160x1620px、比率4:3、264ppi Retinaディスプレイ、IPSテクノロジー搭載 LEDバックライト Multi-Touch、耐指紋性撥油コーティング、500ニトの輝度
センサー 3軸ジャイロ、加速度センサー、気圧計、環境光センサー
Wi-Fi IEEE 802.11 a/b/g/n/ac
対応バンド 【Cellular モデルのみ】
1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 7 / 8 / 11 / 12 / 13 / 14 / 17 / 18 / 19 / 20 / 21/ 25 / 26 / 29 / 30 / 34 / 38 / 39 / 40 / 41 / 66 / 71
GPS 【Cellular モデルのみ】内蔵GPS/GNSS
位置情報 デジタルコンパス、iBeaconマイクロロケーション
Bluetooth 4.2
背面カメラ 800万画素 裏面照射型 F2.4、5枚構成
背面カメラ機能 ハイブリッド赤外線フィルタ、露出コントロール、バーストモード、タイマーモード、自動手ぶれ補正、Live Photos、パノラマ(最大43MP)、写真のHDR、人体検出と顔検出、ジオタグ添付
背面カメラ動画 フルHD(1080p) 30fps、スローモーション: 120fps(720p)
背面カメラ動画機能 手ぶれ補正を使ったタイムラプスビデオ、手ぶれ補正、3倍ビデオズーム、人体検出と顔検出、ジオタグ添付
正面/インカメラ FaceTime HDカメラ、120万画素 裏面照射型 F2.4 FaceTime HDカメラ、120万画素 裏面照射型 F2.2
正面カメラ機能 Retina Flash、バーストモード、露出コントロール、タイマーモード
正面カメラ動画 HD(720p)
HDR(正面) 写真のHDR 写真とビデオのHDR
その他(正面) 人体検出と顔検出 未確認
バッテリー容量 32.4Wh
Apple Pencil 第1世代に対応(別売)
キーボード Smart Keyboard、Bluetoothキーボード(別売)
動作時環境 動作時環境温度: 0~35°C、保管時(非動作時)温度: -20~45°C、相対湿度: 5~95%(結露しないこと)、動作高度: 3,048mまでテスト済み
オーディオ ステレオスピーカー、デュアルマイクロフォン
コネクタ Lightning、Smart Connector、3.5mm ヘッドホンジャック
同梱物 本体、Lightning – USB-Cケーブル、USB-C電源アダプタ 本体、Lightning – USBケーブル、USB電源アダプタ
カラー シルバー、ゴールド、スペースグレイ
サイズ 幅:174.1mm / 高さ:250.6mm / 厚さ:7.5mm(フラットに近いカメラ部除く)
質量/重さ Wi-Fi: 490g、Wi-Fi+Cellular: 495g Wi-Fi: 483g、Wi-Fi+Cellular: 493g

サイズや重量は(数グラムの誤差はありますが)2019年モデルと変化はありません。基本的な部分は据え置きと言った感じですが、大きく変化したのはやはりチップでしょう。A10 Fusion/M10 から A12 Bionic へ進化し、機械化学習エンジン「Neural Engine」を搭載しています。

筆者は現物(iPad 2020 Wi-Fiモデル)を販売店で触ってきたのですが、見た目や操作感は全くと言っていいほど旧製品との区別は付きませんでした。身も蓋もないことを言っているようですが、一般人の利用するブラウジングや Youtube 視聴などの軽い作業ではパワーを使い切れません。ただこれは悪い意味ではないので少々重めのゲームやアプリを起動した場合にこれまでよりも快適に利用できると解釈しても良いでしょう。
また同時に iPad OS については新(iPad OS 14)旧(iPad OS)同時に触れることができたのですが、デスクトップウィジェットの配置など自由度が増し使いやすく進化していました。進化しているのはハードウェアだけではないと実感させられる一幕です。

評価できる点

評価点は複数あるのですが、大きな点でその価格に注目してみます。他の上位モデルと比較すると価格面では破格と言ってもよく、特に32GBは普及させるには手の届きやすい価格(Wi-Fiモデル:34,800円 / 2020年9月現在)になっている点は見逃せません。Pro や Air もノーマルのiPad も OS自体は同じ iPad OS14 を利用できるので基本的な操作感は同じなのでお買得感があります。

次にA12 Bionic と第2世代 Neural Engine(AI/人工知能分野の機械学習エンジン) 搭載 という点でしょうか。A12 Bionic はもともとiPhone で先行採用されていたチップなので信頼性もありますし、Neural Engine の採用で機械学習に対応した点は見逃せません。これにより精度の高い演算結果を得られるようになります。

みなさんが懸念しているであろうベゼルの広さについてですが、手持ちで利用する場合に Pro や Air のようにベゼルが狭いと画面に触れてしまうため、敢えて「持つ場所」としてのベゼルと考えれば決してマイナスとも言い切れないためここでは評価できる点に混ぜておきます。特にベゼルがブラックのモデル(スペースグレイ)になるとホワイトなベゼルのモデル(ゴールドやシルバー)とは違い境界線が曖昧に見えるため悪くないですよ。

残念な点

最大のマイナスポイントは lightning が廃止されていない点ではないでしょうか。純正の lightning ケーブルは強度的に弱いのは iPhone/iPad ユーザーならご承知のとおりですし、最近のPC(macを含め)はUSB-Cが主流になりつつあります。筆者のように Macbook Pro を母艦とし 周辺機器も USB-C をメインとして利用しているユーザーでは 充電のためだけに 独自規格の lightning ケーブルを持ち歩きあるいは切り替えするのは面倒で煩わしさがあります。特に今回はAir が USB-C に置き換わったので追従しなかった点が非常に残念でなりません。

現行各iPad の棲み分けについての考察

iPad Air と同時に登場した8世代 iPad ですが、今回はお求めやすい iPad のみ言及しています。それにしても昔は一見すると同じように見えるiPadシリーズでしたが、Pro および今回の Air がベゼルレスの新デザインとなったためそれぞれに個性が出てきた感があります。どれがお勧めかと聞かれると筆者のイチオシはやはり費用対効果のあるノーマルの 8世代 iPad(2020) になります。

各iPad の棲み分け(筆者主観)

iPad Pro
主にクリエイター、イラストレーターなどが「仕事道具」として利用しています。単体で利用するというより mac と連携しているユーザーが多いです。高性能なので不満を持つユーザーは少ないかもしれませんが、購入にはそれなりの出費(≒PC 1台買えます)が必要となります。本機はApple Pencil 第2世代 に対応しています。

iPad Air
iPad Pro ほどの性能は不要なビジネスユーザーや専門的な学生に支持されるかもしれません。性能は iPad に近く見た目は iPad Pro に近いといった印象で、敢えて辛口で言えば中途半端感が否めません。iPad Pro の皮を被った iPad と評価してしまいそう。もう少し予算に余裕があるなら iPad Pro が射程圏なので差別化が難しいところです。良い点を探せばカラーの選択肢が豊富なことですか。旧iPad Air との違いは性能向上やデザインだけでなく高性能な Apple Pencil 第2世代 が利用できるようになった点です。※Apple Pencil 第1世代は 本モデルに非対応です。

iPad
これまでどおり一般家庭での利用や学生のツールとして期待されていますが、2020モデルになり性能が向上したためビジネスユーザーにも最適な一台になりそうです。筆者はクリエイター業をしているので本来であれば iPad Pro を選択したいところですが、この2020モデルのバランスの良さを考えると非常に悩ましいものがあります。
Apple Pencil 第1世代に対応していますが、Pro や Air に比べるとペンの充電がやや充電が面倒、ペンに突起や凹凸がなくコロコロ転がってしまうなどの欠点もありますが、それを補って余りある価格帯(本体+ペンシルで約50,000円~)での購入は非常に魅力的です。

iPad mini
小型なので日常的に持ち歩くことができるモデルです。サイズの小ささが片手持ちに馴染みやすいのか日本国内では人気があります。敢えてスマホを持たずに ガラケー+ iPad mini という組み合わせで Apple Pencil 第1世代をセットで運用し利用しシステム手帳代わりにしているユーザーも多いですね。

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