PCゲーマーのためのゲーミングUPS
先日、PCを新調しました。AMD ZEN3 Ryzen 5800X3D と Nvidia GeForce RTX 3070 を組み合わせたいわゆるゲーミングPC 仕様で、パーツを購入して自身で組み立てるタイプのものです。筆者はゲームのプロでもなく動画投稿者でもないのでスーパーハイエンドではないですが、マイニングブームが去りグラボ価格が安定してきたこともあって予算の許す限りでそれなりにハイスペック仕様だと思います。筆者が以前使っていたのが第6世代の Intel Core i7 と GeForce GTX 1060 だったので全体的なスペックアップとなり、体感でも実感できるほど快適になりました。
筆者の環境はさておき、皆さんはプライベートで利用する PC に何を求めるでしょうか。
人の趣味や思考は千差万別なのであまりこだわりがないのであればノートPC のほうが小スペースですし、MMORPG や FPS などのゲームをプレイする人は高性能なデスクトップ型になるでしょう。さらにこだわりが出てくると PC本体ケース(筐体)のデザインや周辺機器、デスク周囲の環境を自分好みにカスタマイズするかもしれません。
筆者の場合はインテリア性(デザイン)です。せっかく高性能な PC を組んだとしても本体ケースや周辺機器がバラバラで部屋の雰囲気とマッチしていなかったら嫌ですよね。そしてそんな気になる「デザインがマッチしていない周辺機器」の代表格が UPS です。たしかに足元や見えない位置に置いてしまえばデザインは気にならないかもしれませんが、PCデスクの足元まで電飾で照らすいわゆるゲーミング仕様になっている場合など、ビジネスライクな無骨なデザインはどうやっても悪目立ちしてしまいます。せっかく UPSを導入するならインテリアに合わせたデザインがいいじゃないですか。
ということでデザイン最優先で UPS を探すことになるのですが、APC、オムロン、Cyberpower と、一通り主要メーカーの製品をチェックしてもビジネス用途に特化しているものが多く、あまり食指が動くことはありませんでした。
そんな中、唯一現代的なデザインで発売されているのが APC ブランドの BK750M-JP です。デザイン性という点ではゲーミングPC に準拠していると言っても良いでしょう。もちろんこの BK750M-JP の全てが筆者の求める条件 に一致していると言うつもりはありませんが、他の製品に比べ頭一つ抜き出ていることは間違いありません。
UPSは無くてもPCは動くのにどうして必要なの?
コアな PCゲーマーの皆さんだけでなく筆者のようなライトゲーマー含め多くのプレイヤーは突然の停電を嫌います。なぜ突然の停電を嫌うのか、わかりやすく例えるなら、子供の頃に親から『早く寝なさい』とか『勉強しなさい』などの理不尽な理由で家庭用ゲーム機の電源を切られた経験はないですか?私はよく電源が切られて「せっかくいいところだったのに……」「セーブ前なのに……」と落ち込んだものです。あれの現代版だと考えていただければよいかと思います。
もちろんそれだけではなく、正常なシャットダウン以外の方法で電源が切れるとPCが破損するおそれがあります。給電が瞬断したり安定しないあるいは電源供給が絶たれた場合、パソコンの構成パーツ(電源ユニット・マザーボード・CPU・メモリ・グラフィックカードなど)への電力スパイク(一時的な過給電)による負担は尋常ではありません。そこそこのゲーミングPCだと総額20万円、良いものだと30万円超という価格帯ですから電源断や落雷など外部要因で全部あるいは一部がダメ(回路が焼き切れた場合は基本的に修理困難)になるというのは考えたくもありません。
PCを構成するいずれかのパーツが故障するとPCは正常には動きません。製品保証で電気ストライクや落雷は除外されている場合がほとんどなので修理ではなく買い替えになってしまいます。PCに詳しいユーザーなら自身で故障パーツを特定して交換すれば良いかもしれませんが、普通のユーザーではPCまるごと買い替えという事態にもなりかねないため痛い出費を覚悟しなければならないのです。当然ながらストレージが故障した場合はPC内に保存された全てのデータが消失するということになるかもしれません。故障したストレージからのデータサルベージ会社の費用が高額なのは言うまでもありません。UPS導入の重要性はトラブルの際に気づくことになります。
デザイン性で選んでも外さないUPS、APC BK750M-JP 製品概要
前置きはこのくらいにして製品 APC BK750M-JP について見ていきましょう。
製品外観
BK750M-JP はゲーミングPC のようなデザインで、同ブランドの姉妹機 BRシリーズにあったデジタルインジケーターが廃されて代わりに電源ボタン、正面中央にスマートフォン充電対応の USB Type-A ポート(5V 2A)1基を採用しています。運転時はフロントフェイスの左右にグリーンLEDイルミを配しています。
正面(電源ON状態)
背面(開封未通電時)
インターフェース
BK750M-JP 背面インターフェース
① USBデータポート
付属のUSBケーブルでPCと接続することにより同ブランドの管理ソフト Power Chute Personal Edition を利用することができます。万一停電の際はPCを安全にシャットダウンし、データおよび機器を保護します。
② バックアップおよびサージ保護コンセント
PCや周辺機器を接続するコンセントです。落雷や停電による電源断の場合でもPCや周辺機器の電源供給を維持します。また、接続機器を電力スパイクやサージ、電気的ノイズから保護しています。
③ バッテリーコネクタ
工場出荷時・輸送時などの未使用時はバッテリーを物理的に非接触状態としてバッテリーからの放電を最大限防ぎます。この黄色のピンを本体に差し込んで通電させます。
④ サージ機能つきイーサネットコネクタ
有線LANを保護するためのものです。保護と言ってもウイルスとかではなく落雷や電気ストライクなどの異常な電気の流れからの保護です。
⑤ 入力配線用遮断器
いわゆるブレーカーと呼ばれる役割があり、過電流による配線の損傷を保護し、万一の際は素早くUPSを復旧させます。
⑥ 電源入力
本体から伸びる電源ケーブルはサージ対応製品のためアースを含めた3ピンなので一般コンセントへは製品に同梱の変換アダプタを利用します。
製品仕様
負荷運転時間 | 負荷400Wで約5分(負荷180Wで約9分) |
アウトプット電力容量 | 450W / 750VA |
アウトプット接続 | (6) NEMA 5-15R (電源バックアップとサージ) (1) USB Type-A 5V 2A |
定格出力電圧 | AC100V |
定格入力電圧 | 100V/110V/115V/120V |
入力形態 | NEMA 5-15P |
サイズ・重量 | 140mm x190mm x390mm (W/H/D) 約9kg |
メーカー保証 | 3年 |
無料の運転監視ソフトウェア PowerChute Personal Edition
多くの方はUPSを導入して「もう安心」と思うかもしれません。
もちろん停電が起きた場合にUPS内部の電池残量が無くなるまでは安心です。ですが、ずっとPCの前にいるとは限りません。1~2時間ほどの外出中に停電が起きたらどうでしょう。あるいは宅内にいるにしてもPCの前にいるとは限りませんよね。そんなときに便利なのが UPS監視ソフトウェア「PowerChute Personal Edition(Windows版)」 です。UPSのヘルスステータス、パフォーマンス、エネルギー使用量などを確認可能で、もし長時間の停電やコンピューターシステムのトラブルが発生したとしてもソフトウェアがシステムの安全なシャットダウンに導きパーツや周辺機器、ストレージ内データ破壊の危険性を回避します。利用は完全無料なので BK750M-JP 導入の際にはぜひ利用をおすすめします。
PowerChute Personal Edition(APC)
BK750M-JP を使ってみる
使い勝手がご紹介できればいいのですが、今回の製品は UPSなのでトラブルが起きるまでは通常運転です。トラブル等起きるはずもなく……。スペックは前述しているので、ひとまずランタイムなどスペックを中心に見ていくことにしましょう。
UPSを導入で気になるのは「どのくらいの時間電源供給できるのか」ですよね。箱書きによると……
20インチのモニター付きエントリモデルのデスクトップPC + インターネットルーター | 約 40W | 約 129分 |
ノートPC + ネットワークゲートウェイ + インターネットルーター | 約 79W | 約 74.9分 |
20インチLED付きミドルクラスPC + ノートPC + ネットワークゲートウェイ + ルーター | 約 119W | 約 43分 |
24インチモニター一体型PC + 外部電源付きスピーカー + ルーター | 約 240W | 約 11.2分 |
42インチLEDテレビ + ゲーム機 | 約 335W | 約 5.7分 |
上記のようになります。メーカー公式WEBサイト上の計算に当てはめると若干の相違がありますが、450Wクラスの UPSにふさわしいものになっています。ただ、今回の趣旨ではゲーミングPC なので上記例だといまいちわかりにくいですが、ゲーミングPC 換算では
デスクトップPC(Ryzen7 5800X3D +Geforce RTX3070 )+ 24インチFHDモニター + ルーター | 約 400W | 約 5分 |
デスクトップPC(Ryzen5 5600X +Geforce RTX3060 )+ 24インチFHDモニター + ルーター | 約 280W | 約 8分 |
と言った感じではないでしょうか。
(※筆者計算に基づく換算のためメーカー公称値ではありません)
もちろん CPUが Intelであったり、GPUが Radeonの方もいるとは思いますが、大まかな目安としてはスーパーハイエンド(9シリーズCPU+3090など)での利用には厳しいものの、ミドルクラスやハイエンドまでの利用であれば可能でしょう。
ゲーミングPC用途以外ではテレワーク中のPCの電源バックアップとしても利用することが出来ます。
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