eSportsがメジャーになりゲーミングPCにUPSは当たり前に

PCゲームの盛り上がりとeSports

皆さんは eSports という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。2018年頃から一般にも浸透し始めた言葉ですが、ざっくり言うとプロゲーマーによるPCゲーム競技になります。「なんだ、テレビゲームか……」という方もいるかも知れませんがその経済効果、経済規模は年々増加の傾向にあります。2018年からはeスポーツがアジア競技大会の正式種目に採用されていますし、将来のオリンピックにも種目採用が検討されているようです。優勝賞金数億円の大規模世界大会も開催されていますし、プロチームへの支援するスポンサー企業も多数存在しています。

このように世界中で話題になっているわけですが、PCゲームはプロの世界だけではなりません。アマチュアチームや個人での参加など様々な形で PCゲームがプレイされており、様々なタイトルが存在していますがプレイする上で初心者ほど忘れがちなのが電源管理です。

トラブルの過半数は電源断

自宅でPCをプレイする際に起きるトラブルでは停電や断線など電源断がその半数を占めています。壁のコンセントにつないだ電源マルチタップに足を引っ掛けてしまった、家族がキッチンで調理機器を同時に使用してブレーカーが落ちた等……。
足元の不注意はともかく、消費電力のトラブルは頻繁に報告されている現象です。一般家庭の電力は 40A 契約が主流なので様々な電気機器を同時に使用することで消費電力過多によるブレーカーが落ちてしまいますので注意が必要になります。

高スペックPCのパーツごとの消費電力目安

パーツ 消費電力 備考
マザーボード 6W 標準的なZ390チップセットの製品
CPU 95W Intel Core i9 9900K (TDP95W)
GPU 220W Nvidia RTX 2080
メモリ -(微小) 標準的なDDR4メモリ
ストレージ 4W SATA SSD 500GB
モニター 70W LG 32UL750-W 32インチ 4K
入力デバイス 10W キーボード/マウス
冷却ファン等 48W ケースファン・CPUファン

※この計算ではイルミネーションを考慮していません。イルミネーションを使用する設定の場合は更に消費電力が上昇します。

上記表では平均的なハイスペックゲーミングPCの構成ですが、消費電力はおおよそ450Wとなります。構成パーツや高負荷時などを考慮すると消費電力は平均して500W~600Wと言ったところでしょう。この消費電力を受け止められる UPS が必要となります。

アカウントデータは無事でも……

突然の電源断でPCゲーマーの皆さんは阿鼻叫喚だと思いますが、オフラインゲームであればこまめなセーブをすれば被害は皆無です。ですがオンラインゲームではそんな単純な話では有りません。もちろんゲーム内のキャラクターを含めアカウントに紐づく情報は各タイトルを運営するゲームサーバーに保存されているのでキャラクター情報が消えるような大きな被害はないかもしれませんが、その瞬間が大規模レイド戦終盤だったり、FPSでランキング戦の試合中だったらどうでしょう。

PUBG 公式サイトより

もし電源が突然落ちてしまった場合はレアなアイテムや討伐報酬が入手できなかったり、MVP獲得できなかったり、ランキング戦で予選敗退していたりと本人にとってはかなりダメージの大きい痛手になりそうです。

落雷はデータが飛ぶだけではない

また電源にまつわるトラブルで人的要素でないものもあります。毎年、大雨による被害が深刻化しています。これに伴い大雨の相棒とも言える落雷の被害も増加しています。

皆さんは落雷によるPCの被害で「データが飛んでしまった」と聞いたことがあるでしょう。これは間違いではないのですが、厳密に言えば被害の一部でしかありません。ゲームのマップ情報やシステムデータだけならPCを初期化してしまえば被害はないのと同じですが、最悪なのは「基盤(ICチップやコンデンサ、抵抗など)が焼ききれて壊れる」ことです。こうなるとPCは動きませんし、メイン基盤はまるごと交換になってしまいます。製品保証で落雷被害は除かれているメーカーもあるので事実上自己負担での修理となります。パワーユーザーなら自身でパーツ交換対応するかもしれませんが、一般的にどこが故障したのかを特定することは困難なので事実上の廃棄・買い替えとなってしまいます。そして何よりゲーミングPCは高額なパーツの集合体なのでかなり痛い出費を覚悟しなければならないのが辛いところです。

このような被害を防ぐためにプロのゲーマーや大会主催者では当たり前なのがUPS(無停電電源装置)になります。UPSと聞くと企業向けやサーバー用途の高額なものを想像するかもしれませんが、実は家庭用の製品もお手頃な価格で発売されているので導入を検討してみるのも良いかもしれませんね。

UPSを活用する

UPSはただ電源のバックアップするだけではありません。ソフトウェアとの組み合わせでシャットダウン処理を自動化することもできますし、過給電の際に電源ラインをカットしたりと活用しなければもったいない機能が搭載されている機種もあります。

購入するなら外せない3つのポイント

  • 電源断などの非常時に安全にシャットダウン

    UPS接続しているPCとの連携機能
    PCは正しい手順でシャットダウンしなければストレージが終了手順を実行できなかったり書き込み中に電力供給が止まって記憶装置に物理的損傷が発生することがあります。これらによりPCが起動しない、正常に動作しないなどのトラブルに繋がるため正しい手順でのシャットダウン動作が必要になります。不在時であっても正しい手順でシャットダウンできるUPS連携機能があるモデルが望ましいです。

  • 落雷や過給電から機器を守る

    通常コンセントから供給される電気は変電施設を経由して供給されるため電圧が 100V~110V 程度に保たれていますが、落雷時の電圧は200万~10億ボルトにも達するので最悪の場合は一瞬で機器が焼き切れてしまいます。これを防ぐためにサージ機能付きの機器を準備する必要があります。

  • 電池の交換が容易であること

    UPSは充電池を利用しています。現在はリチウムイオンが主流ですが、繰り返し使用すれば消耗していくのはスマホやノートパソコンなどで経験していることでしょう。電池が消耗したら交換することになりますが、交換用充電池の入手性が良い機種を選定することが重要となります。もちろん電池については純正品以外の選択肢はありません。互換電池は十分な検証や安全確認が担保されていないものが多く、中には粗悪品も混ざっています。せっかく交換したのに容量がおかしかったり変な匂いがしたりと事故や火災に繋がる場合がありますので絶対に純正品を選ぶようにしたいものです。

製品選びの基準

UPSは様々なメーカーが製品を出していますが、どれを選べばよいのかわからないといった声も聞こえてきます。これは最大使用容量で選ぼうにも自身の環境が何ワットなのかわからない方が多いためです。PCのワット数はマニュアルや公式WEBサイトでチェックできますが、UPSはあくまでPCを安全にシャットダウンできるようにするためのものですから、停電時にゲームを続行するためのものではありません。ただ闇雲に製品を羅列し混乱しないためにも編集部がおすすめ製品をチョイスしてみました。※今回ご紹介する製品は 圧倒的シェアを誇る UPS のリーディングメーカー Schneider Electric(APC)製品となります。

製品をPCのスペックで選ぶ

ハイエンド
超高性能なハイエンドゲーミングPCなら UPSの最大使用容量は 600W が良いでしょう。

※Core i7-9700/ i9-9900K、Ryzen7 3800X/3700X + RTX2080/2070、RX5700X などを搭載したPCが該当します。

正弦波出力に対応した無停電電源装置(UPS)BR1000S-jp
負荷運転時間:600W / 3m
アウトプット電力容量:600W / 1.0kVA
アウトプット接続:NEMA 5-15R (電源バックアップ) / NEMA 5-15R (サージ)

BR1000S-jp

エントリー~ミドルクラス
ゲームを快適に遊ぶことのできるこのクラスでは UPSの最大使用容量は 300W が最低条件となります。

正弦波出力に対応した無停電電源装置(UPS)BR550S-jp
負荷運転時間:330W / 2m
アウトプット電力容量:330W / 550VA
アウトプット接続:NEMA 5-15R (電源バックアップ) / NEMA 5-15R (サージ)

APC BR550S-jp

上記のこれらの条件はPCの構成により異なります。不安な場合はワンランク~ツーランク上の製品を選ぶと良いかもしれません。

その他のおすすめ製品

APC BE550m1-jp

APC BE550m1-jp
バッテリーバックアップとサージ保護を備えたホームコンピューター向けの製品です。

矩形波出力の無停電電源装置(UPS)BE550m1-jp
負荷運転時間:330W / 2m
アウトプット電力容量:330W / 550VA
アウトプット接続:NEMA 5-15R (電源バックアップ) / NEMA 5-15R (サージ)

一歩先ゆくUPS活用術

ネットワーク機器との接続を考える

世はクラウド全盛の総インターネット接続時代です。パソコン、スマホなどの端末だけでなく冷蔵庫やエアコンもネット接続が可能になっています。ですがこれら一般生活家電がネットに接続可能であっても肝心のネットワーク機器が稼働していなければ意味がありません。

例えば大規模災害が発生し停電した場合、各人が一斉にネット情報を求め、あるいは安否確認のために LTE接続します。御存知のようにLTE回線は中継局を経由してネットワークへと接続されます。お正月に携帯各社が「おめでとうメッセージをお控えください」とアナウンスするように混雑すると中継局が混み合って接続困難になってしまいますが、災害時にもこれと同様の事象が発生してしまうのです。そんな時にLTE通信ではなく光回線での接続ならトラフィックの混雑も少なくネットへのアクセスが可能になります。

多くの家庭ではルーターや終端装置がそれに該当するのですが、停電時にWiFiが使えなくなるのは周知のとおりですがNTTの基地局は停電時に電源のバックアップによって稼働を止めることはほぼありません。壁のソケットまではネット環境が来ているのにネットに接続できないのはルーターやモデムに電源が供給されていないため※です。であれば電源を止めないために UPS を用いてはどうでしょう。

※マンションや集合住宅に住んでいる場合は建物内の共有部分にある集合装置に電源が供給されていない場合はネット接続はできません。この機器に電源が供給されなければご家庭にある機器が稼働していても光回線で電話もネットも利用はできません。

PCゲーム以外での活躍

UPSはゲーム用だけではなく通常のデバイス用としても利用することができます。APC BR550S-jpなど小型のものであっても家庭用としては十分な性能を持っています。COVID-19感染リスクによりテレワークが推奨されている今、自宅据え置きのPCやUSB-HDDなどに用いれば最小限の手間で社内と同様の無停電環境を構築できますし、家庭用途ではブルーレイレコーダーによる録画の補助電源としても期待できます。
このようにアイデア次第でますますその需要は拡大していくことでしょう。デジタルガジェットに囲まれているからこそ、電力消費が当たり前の時代だからこそ一家に一台 UPS が当たり前の時代なのかもしれませんね。

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