Panasonic Let’s NOTE CF-SV8 実機レビュー

完成形の向こう側にあるPC

パナソニックの代表的なパソコンと言えば頑丈筐体で有名なレッツノートですが、その中でもモバイルユースに最適な一台といえば皆さんご存知のCF-SVシリーズになります。令和へと時代を変えた2019年、そんなCF-SVシリーズの最新作 CF-SV8 がデビューしました。見た目こそ前モデルの CF-SV7 とほとんど変化はありませんが、CF-SV7 が登場した際、もはや完成され尽くしたモバイルPCなのでは?と思われた方も多かったようです。そんな「完成形の向こう側」に鎮座するのが本機 CF-SV8 なのです。

CF-SV8 はモバイルPCに求められる3大要件「堅牢性」「軽量化」「駆動時間」を網羅しているビジネスに最適なモバイルノートでしょう。今回はメーカーさんにお願いして最新の CF-SV8 をお借りしたので細部チェックを踏まえレビューしていきます。
※法人モデル発売時期の都合上、今回お借りしたCF-SV8 はコンシューマモデルLTE版となりますこと予めご了承ください。

2019年6月6日 製品情報リンク追加

モバイルPCに求められるもの

今も昔もモバイルの要といえばその「筐体強度」でしょう。丈夫なノートパソコンの代名詞でもあるレッツノートの最新作である本機も例に漏れず歴代のレッツノート同様に堅牢性を踏襲しています。例えば満員電車での移動でもマグネシウム製の堅牢性のある筐体は壊れることはありませんし、デスクからの落下でも耐えてくれます。もちろん堅牢性と相反する項目「軽量化」にも手抜かりはありません。もともとレッツノートは軽量PCの代名詞とも言えるほど有名ですから光学ドライブ付きモデルでさえ1kgに届きません。そしてモバイルPCに求められる重要な要素である「バッテリー駆動時間」も目を見張るものがあり、様々なモデルを展開する本機CF-SV8ですがモデルによっては最長駆動21時間(※バッテリーパックL装着時)と驚異的な駆動時間を実現しています。

つまり CF-SV8 はモバイルPCに求められる3大要件「堅牢性」「軽量化」「駆動時間」を網羅しているビジネスに最適なモバイルノートでしょう。

外観インプレッション

検証機の各インターフェースは下記のような構成です。
左側:電源入力(充電)、熱放出フィン、HDMI出力、USB(Aポート)x1、USB-C(Thunderbolt3)x1
右側:USB(Aポート)x2、VGA出力、有線LANポート、ケンジントンロック となっています。
背面に端子類は無くすっきりした印象ですが、フロントには3.5mmミニピンジャックとメディア系のインターフェースSDカードスロットおよび光学ドライブが奢られています。また、バッテリーパックを外すとSIMスロットが現れます。

写真を見てもお分かりのとおり CF-SV8 は 前モデルの CF-SV7 と並べてもその外観に違いはありません。これは既にレッツノートシリーズのデザイン完成度が高いことを意味することを表しています。もちろん細部を見ると USB-C(Thunderbolt3) 端子が追加されているので厳密に同一ではありませんがこれは正当進化と言って良いかもしれません。私の手元にある CF-SV7 は前期法人モデルなのでこのUSB-Cポートがありません(後期型の一部CF-SV7で搭載されている)でした。私の個人的な環境で申し訳ないのですが、作業の都合上で米国 A社の USB-C(Thunderbolt3) しかない端末を使用しておりすべてが一本で接続できるため便利すぎて無くてはならないものになっています。

何れにせよこの USB-C(Thunderbolt3) ポート追加の恩恵は計り知れないものがあります。USB-C ハブさえ用意すれば今まで煩わしかった配線がケーブル1本で足り、高速通信はもちろん電源供給(PD)や映像出力などをケーブル1本にまとめることが可能になるのですから。

本機の場合、その多くは法人需要でしょう。例えば営業での外回りで本機を持ち出す場合、オフィスに戻ってUSB-Cケーブルを一本だけ接続すれば給電、外部モニタ、USB外付けデバイス類などすべての環境が利用可能になります。前モデルのレビュー時に筆者が不満に思った右側ポート問題(右側のポートを利用するとマウスの可動域が塞がれる問題)から開放されるのも非常に嬉しいアップデートですね。

これまでは上記のように個別に接続(電源ケーブル、VGA/HDMI、USBキーボード・マウスなど)してハリネズミのようになり、この状態で持ち出しの度に脱着の繰り返しは無理がありました。

サードパーティー製USB-C(Thunderbolt3)ハブを接続した例ではこのハブへの接続により外部モニタ(HDMI)、電源供給(PD)、複数のUSB-A、SDリーダーなどがケーブル1本で利用できるようになります。今回ご紹介した他にもポート類の多いドック型も市販されているので環境や予算に応じたシステム構築ができます。もちろんこの状態でパソコン本体の各端子も利用可能です。

参考価格
PD対応 USB-C(Thunderbolt3)ハブ  : 市価 8,000~12,000
PD対応 USB-C(Thunderbolt3)ドック : 市価 20,000~40,000
※周辺機器ご入用の際はお気軽にお問い合わせください。

ますます完成度の高まったモバイルノートPC

機能・性能・仕様

次に機能・性能・仕様を見てみることにします。今回の検証機は次のような構成となっています。

仕様概略

OS Windows10 Home ※本機はコンシューマモデルです。
CPU Intel i5-8265U(4コア8スレッド)
メモリ 16GB
ストレージ SATA SSD 256GB
液晶画面 WUXGA(1920x1200)16:10 ノングレア液晶

CPU

今回のモデルチェンジではCPUもアップデートされています。本検証機ではそのCPUに「Intel Core i5-8265U」が搭載されており、下記表にあるとおり動作速度こそ抑えられているものの4コア8スレッドなので定番ソフトウェアも前世代のi7と何ら遜色のない動作が可能になっています。さらに15Wの省電力でありながらデスクトップ並みの強烈なターボブーストモードを搭載しているのでマルチコア非対応ソフトウェアであってもその瞬発力を発揮しストレスを感じることなく作業を続行できます。

Core i5-8265U概要
世代 第8世代
開発コード Whiskey Lake
コア数 / スレッド数 4 / 8
動作周波数 1.60GHz
最大動作周波数 3.90GHz
TDP 15W
内蔵グラフィックス Intel UHD Graphics 620

※上記は今回の検証機搭載のCPUです。モデル構成によって搭載されるCPUが異なる場合があります。

液晶画面

画面は12.1インチで 16:9 の通常液晶画面ではなく 16:10 の WUXGA 仕様になります。一般的なFHD画面と比べると120pxほど縦長に余裕があります。この120pxによりタスクバーの表示エリアや各種ソフトウェアのリボンやバーなどを表示しても表示領域を確保でき、結果として作業効率の向上へと繋がります。もちろん本機はノングレア画面になりますので嫌な反射を気にすることなく作業に没頭できます。

ストレージ

検証機ではSATAタイプのSSDが搭載されていました。
SATAゆえに速度こそ500MB/secで頭打ちになりNVMe SSD との差は歴然ですが、体感速度となれば話は別。実際のところ NVMe と SATA の体感速度で違いを感じられる繊細な人がどれだけいるのかわかりませんが、この速度帯になると誤差の範囲ではないでしょうか。2019年現在、一般的には読み込み速度が300MB/sec を超えてくると遅いという感覚が無くなるので不満などあるはずがありません。

ストレージ読み込み速度の参考値
5400rpm HDD : 約60MB~65MB/sec (汎用品)
SATA SSD   : 約500MB/sec(汎用品)
NVMe SSD   : 約3000MB/sec(汎用品)
※参考値は計測条件により変化する場合があります。詳細は製造メーカーへお問い合わせください。

メモリ

2017~2019年はパソコンパーツの性能が飛躍的に伸びました。
CPUでは多コア化に寄せ、GPUではRTXをサポートし、ストレージでは速度を上げてきました。もちろんその流れはメモリにも押し寄せ、DDR4では速度(動作クロック)向上が著しいという消費者・エンドユーザー目線で見ると財布に優しくない悩ましい時代に突入しました。
そんな時代の最新機である本機も例に漏れずDDR4を採用していますが、その容量はなんと16GBとなっています。日常的な動画編集やグラフィック編集、商用レベルの写真加工など特殊な作業をしない限り16GBで不足するとはありません。

OS

今回の検証機は法人モデルではないためWindows10 Home を採用しています。もちろん小規模ビジネスを展開している人にとってはHome で不足しない人もいるかも知れませんが、今後販売される法人モデルではビジネスPCとしてWindows10 Pro(x64)を採用予定となっています。Windows10 Proはドメイングループに属したりセキュリティーを強化したりなにかと条件が厳しいビジネス用途にマッチした最新のOSとなります。
※2020年1月14日にMicrosoft社によるWindows7のサポート終了を予定していますが Windows10 は後継OSとしての役割を担っています。

バッテリー

本機には標準でバッテリーパック(S)が付属しています。Sということで不安に思うかもしれませんがバッテリーパック(S)の駆動時間は公称13時間となっています。もちろん不足を感じた場合はバッテリー単体の追加購入も可能なので安心です。特に外出や使用頻度の高いユーザー様には標準バッテリーの他、追加でバッテリーパック(L)もチョイスできます。このバッテリーパック(L)は公称20時間となっていますので一日一度の充電で満足のいく作業時間を得られます。

バッテリー消費時間(参考値)
バッテリーパック(S) : 約13時間(メーカー公称)
バッテリーパック(L) : 約20時間(メーカー公称)
※追加バッテリーご入用の際はこちらからお気軽にお問い合わせください。

光学ドライブ

光学ドライブ無しモデルも選択可能なレッツノート CF-SV8 ですが、本検証機にはDVDマルチドライブが搭載されています。重量はDVDドライブが内蔵されているにもかかわらず他の追従を許さない1kgを切った999g。クラウド全盛のご時世でDVD以下の光学メディア市場が急速に縮小している昨今ですが、ビジネス用途では先方から受け取った資料メディアをその場で確認できるため即時対応が求められる現場で活躍が期待できます。

キーボード

キーボードはボディーサイズが12.1インチということもあり10キーこそついていないものの、キーピッチ:19mm(横)/16mm(縦)、2mmのストロークで打ちにくい印象はありませんがファンクションや部分的に小さいキーも多いため、オフィス内での利用ならば別途10キー付きの外付けフルサイズキーボードを準備することをお勧めします。

データ通信(LTEモデル)

本検証機にはSIMスロットがあります。購入時にLTEモデルを選択することで受信時最大300Mbps/送信時最大50Mbpsの高速データ通信が可能となります。国内専用のSIMロックフリーLTE対応モジュールを内蔵しているので、大手キャリアの通信網はもちろんのことMVNO格安SIMなど好きな通信サービスを選んでご利用いただけます。

ベンチマーク

CINEBENCH

シングル性能:393
マルチコア性能:1473
という結果になりました。さすがにデスクトップと比べるべくもありませんが、デスクトップ換算でマルチコア性能で第四世代並み、シングルコアでは第六世代並みといった感じです。TDP15WのCPUとしてはかなり善戦している印象です。もっとも本機はコンシューマモデルなので法人モデル(コンシューマ機より遅れて発売予定)でCPUを含めどのような構成でデビューするのか不明ですし、それが逆に楽しみでもありますが、コンシューマモデルに触れた感触では 「法人モデルでもCF-SV7 の性能を上回る快適性が確保できるであろう」と予想しています。

CPU-Z・CrystalDiskMark

CPU-Z で見るとTDP15W の Core i5 8265U とあります。U型なので低電圧版のCPUで性能を抑えていますが このCPUは2018年Q3発表のWhiskyLake で最新型です。

ストレージ速度計測のCrystalDiskMark では読み書き共に500MB/sec を超えてきました。最新のNVMeには及びませんがSATA型のSSDなのでストレスとは無縁な速度が確保されています。

セキュリティー

Windows Hello 顔認証

情報セキュリティーが叫ばれている昨今、本機においてもセキュリティーへの取り組みに手抜かりはありません。
WindowsHelloによる顔認証対応カメラを搭載することで、顔を向けただけでサインインや画面ロック解除となります。ユーザーも複数認識できるので管理者とユーザーが違う場合でもそれぞれ簡単にサインイン可能です。

これまでのパスワードやPIN入力方式では防げなかったショルダーハック(肩越しにコードを盗み見る行為)よりも高度なセキュリティー対策が可能となり、漏洩被害を未然に防ぐことができるようになります。

CF-SV8 実機レビュー総評

高いレベルでの完成形を見た CF-SV7 から更に進化したCF-SV8 ですが、前モデル同様にビジネスシーンで活躍することは間違いありません。FHDよりも広い画面はビジネスソフトやプログラムコードの表示に有利となります。CF-SV8 は Windows10Pro搭載予定(法人モデル)なので 期限切れ間近の Windows7 からリプレイスするにも最適な一台です。サポート面においても国内の大手メーカーで安心して利用することができます。もちろん法人モデルでは4年保証が適用されるため万一の際にもビジネスに大きな支障をきたすこともありません。

written by ジーン・タイラー © 2019

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