Panasonic 頑丈ハンドヘルド TOUGHBOOK FZ-T1の内覧会レポート

ある日、編集作業中の私のもとへ最新ガジェット「Panasonic TOUGHBOOK FZ-T1の内覧会いく?」とのお声掛かりが。
自他ともに認めるデジタルガジェット好きな筆者の答えは日程を確認する前に即答だった。

日程を内覧会にあわせ調整し向かったところはオシャレ感漂う汐留エリア。

移動の都合で最寄り駅はサラリーマン御用達の新橋となったためオシャレ感は全く感じないまま汐留方面へ向かう。



近くには日テレやカレッタ汐留など素敵エリアがあるのだが今回は横目で見るだけに留めておいた。ゆりかもめの駅中を通過し見えてきたビルが目的地 Panasonicの内覧会会場 である。

受付を済ませ専任の担当者さんをつけていただいたので「TOUGHBOOK FZ-T1」と「TOUGHBOOKシリーズ」について説明していただいた。

第一印象は質実剛健

そもそも「TOUGHBOOK FZ-T1」は業務用を想定しているため、あまりコンシューマモデルのようなメディア露出は少ないかもしれない。だがこの「TOUGHBOOK FZ-T1」は先日ドコモから発表されたdocomo夏モデルスマホ「TOUGHBOOK P-01K」をベースとし「バーコードリーダー」を搭載するなど機能強化したモデルになっているのでシルエットはご存知の方もいるかもしれない。


バーコードリーダー搭載の「TOUGHBOOK FZ-T1」

バーコードリーダー搭載のため特徴的な上部形状となっている

TOUGHBOOK FZ-T1

TOUGHBOOK P-01K
先日ドコモから発表されたdocomo夏モデルスマホ「TOUGHBOOK P-01K」との比較。違いは一目瞭然。上部バーコードリーダーの有無で判断できる。

インプレッション


第一印象からインパクトのあるボディーは周囲にバンパーが施されているため5インチにしては大きい印象。


背面はボディー上部にバーコードリーダー搭載のための盛り上がりがあるため厚みが増し視覚的にもさらに大型に感じる。

仕様

仕様は下記の表を確認していただくのが良いだろう。

パナソニック「TOUGHBOOK FZ-T1」スペック
モデル Wi-Fi docomo対応 KDDI対応
ディスプレー 5型液晶
画面解像度 720×1280ドット
サイズ 約75×154×13.1~17.5mm
重量 240g(予定)
CPU Snapdragon 210 1.1GHz
(クアッドコア)
内蔵メモリー 2GB
内蔵ストレージ 16GB
外部ストレージ microSDXC(最大2TB)
SIMスロット なし nano SIM
OS Android 8.1
無線LAN IEEE802.11n(2.4/5GHz対応)
カメラ画素数 フロント:なし
リア:800万画素
バッテリー容量 3200mAh
防水/防塵 ○/○(IP68)
USB端子 microUSB

表でもわかるようにWi-Fi版、docomo回線用、au回線用などがラインナップ予定となっている。SIMフリーではなくこのような仕様になったのは対応バンドの違いによるもの。回線が不要であればWi-Fiによる内部通信専用機として利用も可能となっている。他方でSIM通信モデルを用意することで大手キャリアだけでなくMVNOにも対応させ法人需要をうまく吸収している。

OSはAndroid8.1を採用している。アップデート対応かどうかは現在のところ未定だが最新のAndroid 8.1なので当分の間困ることはないだろう。また、画面は1280×720ピクセルの5.0型を採用しているが、現場では必ずしも超高解像度が必要ではない事が多いことでベストな選択と思われる。

ただ、仕様表を見ると最新のスマホやガジェットを見慣れた諸氏には一見して全体的にやや枯れた技術に見えるかもしれない。しかし裏を返すと技術が安定している部材を採用することで故障の原因を極力排除した安定性を確保するといったメーカーの割り切りともとれるはずだ。

ここがすごい

  • 手袋装着時や水売れ時でもタッチ操作可能

    業務では安全のため手袋装着が義務付けられている企業も多い。通常のスマートガジェットであれば帯電手袋やスタイラスなどで反応させなければならないが、本機は手袋装着時や水売れ時でもタッチ操作可能となっている。もちろん厚手の手袋や軍手となるとさすがに難しいものがあるが、水濡れ時などでもタッチ可能なのは非常にありがたい。



  • 非接触ICカードリーダーライター

    Felicaをはじめとする非接触ICカードに対応しているので管理タグの読み取りも簡単に。商品点数の多いショッピングセンターやアパレルなどで煩雑だった在庫管理も便利になるだろう。


※画像はメーカーサイトより引用

ここが惜しい

業務特化型のためというわけではないが、切り捨てられたレガシーや機能性能もあるため筆者の目から見て残念な点をあげておく。

  • フロントカメラ非搭載

    現場と事務所のコミュニケーションで必須に近いビデオ通話(ビデオ会議)。通常であればフロントとリアのカメラを切り替えながらの通話になるのだがこのモデルはフロントカメラ非搭載。現場の様子は伝えられるものの……。といったところである。これに伴い必然的に顔認証対応のアプリも利用不可となっていることはセキュリティー強化が叫ばれる時代には残念な点である。これも特定業務専用機ゆえのメーカーの決断なのかもしれない。


  • 1世代前の枯れスペック

    仕様表の際にも触れたが、スペックが少々心もとない印象も。本機はCPUにスナドラの4コア、メモリは2Gを搭載しているが、3万円未満の格安スマホでさえ6コアオーバー、メモリ4GBの時代にいかがなものだろうか。もちろんカタログスペックだけでの判断は乱暴であると自覚しているが、業務用だけにメモリ4GBは搭載して欲しかったため他機種と比べ見劣りする感は否めない。

堅牢性に技あり

ハードな業務環境を想定した丈夫なボディー





※画像はメーカーサイトより引用

メーカーの独自テストでは

  • 本体の6方向に対するコンクリート面へ高さ1.5mからの落下試験
  • 高さ1mからの1000回落下試験
  • 高さ80㎝からディスプレイ面への鋼球落下試験
  • 前後左右上下に対する1時間振動試験

などを実施し、この他にもIP66/68準拠の防塵・防滴・防水設計や、動作温度-10℃~50℃の過酷な環境下での動作を実現している。

想定ユーザー

業務特化型とも言えるこの製品の最大の特徴「バーコードリーダー搭載」から活用する場面を想定してみたが、思いのほか利用シーンが多いことに気が付いた。

  • 部品数の多い工場

    単純に製品組立と言っても部品数が多いと手作業での管理は現実的ではない。このため部品のバーコードなどを瞬時に読み取り在庫などを安定化させることで均一な製品の製造ラインを確保することに繋がる。

  • ショッピングセンターや通販事業者、配送などの物流

    大型ショッピングモールやECサイトでは顧客のニーズによって様々な商品を取り扱っている。正しく顧客のニーズに応え迅速に的確なアイテムを準備するためシステムと連動したバーコード読み取りは必須ともいえる。

これらは発表会場の様子からもメーカー側で注力していると思われるが、これ以外にも下記のような利用シーンが予想される。

  • 医療現場や介護業界

    看護巡回や薬剤処方時、消耗品管理などバーコードによる情報の読み取りによる効率化は今後大きく加速していくと予想される。

  • 公共施設

    空港、港湾施設での荷物チェックやチケットの読み取りではミスなく膨大な数を処理しなければならないため、機器の耐久力が求められる。

  • イベント会場

    コンサートや演劇、試合観戦などでは顧客IDに基づく入場管理が必須になりつつある。2020年開催予定の東京オリンピックにおいても「観戦チケットは有料」とのアナウンスからもわかるとおり転売防止のための施策が一般的になると予想される。

  • 飲食店

    メニューのバーコードを読み取り厨房への指示、レジシステムへデータ送信を同時に行う。これらの作業では食品油などでの汚損が予想されるため防水性のある「TOUGHBOOK FZ-T1」は最適だろう。

これらの少なくないニーズを生かすための「バーコードリーダー」搭載はハンドヘルド端末としての正当進化と言えるのではないだろうか。

オプション

前述の「バーコードリーダー」を生かすため、この「TOUGHBOOK FZ-T1」にはユニークなオプションが用意されている。
「現在開発中のもので実際の販売製品とは異なる」との前置きのもと、オプションアイテムを見せていただいた。

  • ピストルグリップ



    バーコードリーダーは本体と背面の専用端子で接続しトリガーによって読み取り操作が可能となっている。
  • オートレンジバーコードリーダー





    こちらは前述のホルダーに照射機能がついており、赤く照らされた照射エリア内であれば数メートル先のバーコードも読み取ることが可能となっている。また照射用の電源供給のため電池パックを装着することができる上、電池パックは本体共通となっている。

販売価格

さて、ここまで業務特化型なので一般ユーザー向けでないことはわかるのだが、販売予定価格は気になるので担当者さんに聞いてみたところ、残念ながら発売前(発売は2018年10月予定)と言うこともあり具体的な金額は教えていただけなかったが、従来の同社製ハンドヘルドより値下げされているとのことで発売日まで待てる調達担当諸氏は期待して良いかもしれない。

内覧会ギャラリー









レポート総括

今回の内覧会ではTOUGHBOOKの魅力を存分に堪能できたと思う。
これも筆者のマニアックな質問に丁寧に答えてくれた担当者様(名前掲載許可を取るのを忘れたので)のおかげである。
紙面上ではあるがお礼を述べたい。
「多数の来客の中、長時間のお相手ありがとうございました。また機会があればお誘いお願いします。」(え?

製品については多少辛口な評価を踏まえつつ独自に解説させていただいたが辛口ついでにもう一言。
「カラーリングはブラックのみを予定」とのことなのだが現場の多様化を考えると2~3色展開は欲しいところである。

カラーリングを除けば現場の声をうまく製品に生かした楽しみな一台であることは間違いない。

by Gene Tylor

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