UPSと制御ソフトを検証してみた【各種メーカー比較】

各メーカーのUPSと制御ソフトを検証してみました。

検証UPS・ソフトの紹介

(写真左から)

UPS ソフトウェア
OMRON オムロン
型番:BN75T
PowerAct Pro
CyberPower サイバーパワージャパン
型番:PR750 JP
PowerPanel Business Edition
APC エーピーシーシュナイダーエレクトリック
型番:SMT750J
PowerChute Business Edition

それぞれの名称に付いている数値がUPSの出力VAを表しています。(OMRONは表記が少し異なります)

■UPS選定基準

①給電方式を決定します。
②ワット数の算定をします。

(アンペアA)×(ボルトV)=(ワットW)
厳密には異なりますが、おおよそWワット=VAボルトアンペアと考えて間違いはないようです。

参考: 中部電力ホームページ 電気のマメ知識:ボルト・アンペア・ワット

①給電方式
以下の3つから選定をします。

○常時商用給電方式
通常運転時は商用電源からの電力をそのままスルーで出力し、同時にバッテリへ充電してバックアップ運転に備えます。電源異常が発生してからバッテリ給電によるインバータ運転に切り替わるまで瞬断が起こりますが、パソコンやサーバなどの一般的なOA機器ではほとんど問題がありません。
対象機器:PC、ハブ、ルータ

○ラインインタラクティブ方式
基本構造は常時商用給電方式と同じですが、AVR(電圧安定化)機能が付加されています。電圧を変換するトランスを経由することで、通常時でも電圧をAC100V出力に近づけるよう調整し、安定的に電圧を供給することが可能です。
対象機器:サーバ、ストレージ

○常時インバータ給電方式
通常運転時は商用電源と同期しながら、入力電圧の状況に応じて昇圧変換(入力電圧が低い時)または降圧変換(入力電圧が高い時)を行うため、一定電圧の安定した給電が可能です。また、バックアップ運転に切り替わる際の瞬断もありません。
対象機器:PCサーバ、ストレージ、産業機器

参考: オムロンホームページ UPSの給電方式

今回検証をする、UPS3台は全て
VA:750
給電方式:ラインインタラクティブ方式

となっております。

■インターフェイス比較

・OMRON BN75T

・CyberPower PR750 JP

・APC Smart-UPS 750

3種類とも正面にアナログなモニターを持ち、背面には電源ポートが6つあります。
どれも非常によく似ている印象を受けます。あまり外観に違いを出す必要もないのかもしれません。

■機器設定による比較

ハードを操作して変更をすることができる設定の違いを2つあげてみました。
それぞれ大きな違いはありませんが、微妙に異なっています。

□電圧感度の設定

UPSは電力の変化を検知して、バックアップ電源へと切り替えを行います。
その際に基準となる電力があり、電圧感度が高いほど閾値があがるためバックアップ電源へと切り替わりやすくなります。

メーカー
OMRON
標準 or 高感度
CyberPower テイ チュウ コウ
APC Low Reduced Normal

OMRONは2種類のみの設定項目でした。

□省エネルギー運転、消費電力関連設定

環境に配慮をした効率的な電気利用の設定が可能かどうかを比較しました。

メーカー 機能名 内容
OMRON エコモード 商用電源入力をそのまま出力をするようになる
CyberPower 特になし 標準で省エネルギー技術GreenPower UPS™ & Active PFC 対応
APC グリーンモード AVR(自動電圧調整器)をバイパスして、運転をする

CyberPowerでは、運転モードとしての設定はありませんでしたが、標準で省エネルギー技術を駆使した利用が可能なようです。

少し脱線しますが、通常1ラック(42U)あたりの消費電力を計算してみました。

機器名称(ユニット数) 台数 消費電力
サーバ(1U) 12台 200W*12=2400W
サーバ(2U) 3台 450W*3=1350W
ルーター(1U) 2台 60W*2=120W
L3スイッチ(1U) 1台 60W*1=60W
L2スイッチ(1U) 2台 50W*2=100W
ストレージ(2U) 3台 500W*2=1000W
ロードバランサ(1U) 1台 300W*1=300W
ファイアウォール(1U) 1台 300W*1=300W
合計 5630W

かなり大雑把に見積もってみましたが、最近のデータセンターで利用される電力量は約6000Wが平均だそうです。
全ての機器を1台で保護対象とすると仮定した場合、非常に大きな5000W供給可能なUPSが必要になります。今回の検証機(750W)では、単純計算で8台となります。
相当な電力が必要であることが分かります。

ちなみに電気代は
6000(W) / 1000(k) * 1(時間) * 27円 =162(円/時間)
※1Wあたり27円は、全国家庭電気製品公正取引協議会が定めている電力料金目安単価を参考にしています。
1ヶ月にすると
162(円/時間) * 24(時間) * 30(日) = 116,640円
約12万円です。このくらいはかかるんですね・・・。
※概算なので、正確な数値ではありません。ご了承ください。

■制御ソフトウェアの比較

UPSを制御するソフトウェアは、
①停電時にクライアント、サーバの指定時間後の安全なシャットダウン
②一定の電圧に安定をさせた電力供給の監視
③電源イベントの分析

を行うことができます。もちろん、全てのソフトで実現できる機能となっています。

今回の検証では一般的な企業で使われているBusinessEditionを使用しています。ソフトに関してもメーカーから複数種類が販売されているので、必要に応じて適切なものをお選びください。
正直なところ、3つのソフトで大差はありませんでした。その中でもそれぞれで特徴が出ていた部分をまとめてみました。

□システム構成比較

・OMRON-PowerAct Pro

役割 説明
マスターエージェント

接続されているUPSと通信し、状態の監視
マスターからスレーブに信号を送ることでシャットダウン動作を行う
ネットワーク上のコンピュータにUPSでの各種イベント情報を通知
UPSで発生するイベントやデータを記録する
OSとUPSのシャットダウンを実行

スレーブエージェント

マスターからの信号により、シャットダウン動作を行う
OSのシャットダウンを実行

インストール画面

「マスターエージェント」と「スレーブエージェント」の2つで構成をされています。
管理をする1台にマスターを入れて、その他保護をしたい機器にはクライントを入れるといった構成になります。シンプルで分かりやすい構成ですね。

このソフトは、Webベースのモニタ画面で各種設定を行います。このWebモニタ画面を表示するためにWebサーバがインストールされている必要があります。
※デフォルトでチェックが付いている設定でIISサーバを入れるだけでなく、「CGI」「ISAPI拡張」「IIS6管理互換」を入れる必要があります。
Webモニタ画面を使わずにコンソールから制御する方法もあります。
Webサーバを使用しない場合は、モニタ画面を表示させることができないため、基本的なシャットダウンパラメータだけが設定可能です。

・CyberPower-PowerPanel Business Edition

役割 説明
Agent

電源状態に対応する無人シャットダウン
電源状態のユーザへの通知
イベントおよび電源状態の履歴ログ
すべての受電機器の詳細な負荷管理
シャットダウン、再起動スケジュール管理
UPS の設定
システム概要のクイックビュー

Client

様々な電源状態に対応する無人シャットダウン
電源状態のユーザへの通知
電源イベントの履歴ログ
システム概要のクイックビュー

Center

複数台の UPS/PDU/ATS、機器、AgentまたはClientがインストールされているとコンピュータの監視
監視対象のUPS、PDU、コンピュータ機器へのアクセス制御
UPS/PDU/ATS と電力を供給するコンピュータ/機器との間の負荷管理
電源管理に対する要求についてのイベントと結果の履歴ログ

インストール画面

「Center」と「Client」と「Agent」の3種類で構成されています。
複数台のUPSとエージェント、クライアントになった時に必要になるのがCenterです。その名の通りまとめて監視、負荷管理を行うことができます。保護したい対象が複数台にまたがり、UPSも複数台必要な場合には便利な機能ですね。

・APC-PowerChute Business Edition

役割 説明
エージェント

UPSステータス監視
停電時、UPSが保護するコンピューターのシステムシャットダウン

サーバ

エージェント設定と監視
エージェントから情報を収集して、イベントの追跡と通知
コンソールとの通信

コンソール

サーバに接続をして、UPSで保護されているシステムの管理と設定

インストール画面

「エージェント」と「サーバ」と「コンソール」の3種類で構成されています。
各サーバにインストールされるコンポーネントの組み合わせは、特に制限がありません。例えば、1つのサーバに全てのコンポーネントをインストールすることも可能です。
なお、1台のサーバで管理できるエージェントは最大25台までです。

□GUIステータス画面の見やすさ比較(個人的意見)

ログインをしてから最初に表示されるステータス画面をそれぞれ比較してみました。
ひと目でどれだけの情報が入ってくるか、そのために情報が多すぎていないかで判断をしてみました。

メーカー
(左から)
普通 良い コメント
PowerAct Pro
(オムロン)
グラフを用いているためひと目で情報を把握することができる
PowerPannel Business Edition
(サイバーパワー)
シンプルだが、これといった工夫がないので、普通の印象
PowerChute Business Edition
(APC シュナイダーエレクトリック)
最低限のみの情報が載っており、シンプルで見やすい

□シャットダウン設定画面比較

シャットダウン時間設定のためにソフトを入れるといっても過言ではないと思っています。こちらもステータス画面と同じく、シンプルで分かりやすい設定項目がユーザーにとってより良いインターフェイスであると思いました。
オムロンはマスターエージェントが設定を行うようになっているため、エージェント選択の項目もあります。こう見てみると各社微妙に異なっています。

メーカー
(左から)
特徴 数値入力 コマンド実行
PowerAct Pro
(オムロン)
エージェントごとに設定をすることができる プルダウン
(既定の数値のみ選択可)
可能
PowerPannel Business Edition
(サイバーパワー)
開いているファイルを保存してからシャットダウンをすることができる プルダウン
(既定の数値のみ選択可)
不可
PowerChute Business Edition
(APC シュナイダーエレクトリック)
シャットダウンの移行をランタイム制限で選択をすることができる キーボード入力
(自由な数値9999秒まで選択可能)
可能

ここでは、載せていませんがイベントの設定ももちろん全てのソフトで行うことができるようになっています。

■最後に

3台を比較してみるまでは、UPSなんてどれも変わりがないのではないかと思っていました。そして、比較をしてみた結果、やはりそこまで大差のないものなのだと改めて実感をしました。そんな中でも各社の細かい工夫を知ることができました。
みなさんが普段から使い慣れているUPSとソフトを使っていただくのが一番のようです。普段は目立つことのない機器ですが、いざという時に無くてはならないものです。備えあれば憂いなしですね。

記事:三谷商事株式会社
東京支店 テクニカルソリューション課
塚本 耕司

もっと詳しくUPSのことが知りたい方は、下記ページもご参照ください。

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