UPS完全ガイド

テレワークがあたり前になり、リモートでPCを操作する機会が増えてきました。それに伴い 無停電電源装置(UPS)を活用することが一般的になっています。またその便利さからか、家庭で利用している方も多いのだとか。 UPSと言えばシェアナンバーワンの APCブランドの製品を思い浮かべるかと思いますが、他にもオムロンやCyberPowerといったメーカーから製品が発売されています。利用用途や環境に応じて UPSを選定しなければならないのですが、意外と選び方やスペックの読み方について知られていません。購入したのはいいけれど用途に合っていなかった、容量が不足していたといった声も聞こえます。

そこで今回、皆さんの利用環境を想定し「最適な UPSの選び方」「用途にぴったりな UPSの比較」の二本立てでご紹介していきます。各パターンによっておすすめの製品もご紹介しているのでそちらもチェックですよ。

※2023年11月30日更新(この記事は 2022年2月執筆時点での内容を記載しています。)

UPS の選び方

UPS(無停電電源装置)の必要性については災害大国日本に居住しているのであれば当たり前になっていますが、一口に UPSを導入すると言っても自身の環境に合った機種を選定するのは大変です。単純にメーカーの違いだけではなくPC・周辺機器の消費ワット数の計算や管理用ソフトウェアの導入など、素人にはなかなか高いハードルが待ち受けています。メーカーサイトに行っても専門用語満載のスペック表が掲載されているだけですし、UPSを取り扱うショップに行こうにもよほどの大型店でなければ通販に頼ることになり、その大型店に行ったとしても専門知識のないアルバイトスタッフのみ……。ならばネットで検索して知識を! と思ってもそもそも基礎知識が足りていない状態。もっと専門的、専門用語満載なものではなく「わかりやすい説明が欲しい」と思いませんか。

ならば当編集部で作りましょう。

わかりやすく、そして2022年現在利用されているPCのスペックと利用目的など具体例を挙げなから最適な UPS導入を考えてみることにします。

UPS(無停電電源装置)のおすすめは

オフィスで使うなら

オフィスで利用する UPS(無停電電源装置)のおすすめは APC(Schneider Electric)であれば APC SMT シリーズ、オムロンなら BNシリーズになります。シリーズと謳っているのでお気づきかもしれませんが、両社とも別のシリーズをラインナップに持っています。比較検討する際、つい安価な製品に目が行きがちですが、ネットワークを介した一括管理機能はこのシリーズでのみ利用できる機能です。もちろん機能の有無だけではなく 管理ソフトウェア運転方式 の違いを考えるとやはりこのシリーズに落ち着くでしょう。性能的にはどちらもラインインタラクティブ方式(※後述)なので電圧が安定しています。基本的動作は同じでも業務で利用するPCを接続する機器なので「業務用に最適化」された機種が望ましいです。これはオフィスや家庭で利用する PCの OSが Windowsであっても Proと Homeに分かれているように「利用目的によって内部の仕様が違う」と認識しておいてください。

両社のオフィス向け UPS

APC
製品画像 製品名 仕様
APC Smart-UPS 1500 LCD 100V SMT1500J ラインインタラクティブ
1500VA 正弦波出力
APC Smart-UPS 1000 LCD 100V SMT1000J ラインインタラクティブ
1000VA 正弦波出力
APC Smart-UPS 750 LCD 100V SMT750J ラインインタラクティブ
750VA 正弦波出力
APC Smart-UPS 500 LCD 100V SMT500J ラインインタラクティブ
500VA 正弦波出力

※上記 APC Smart-UPS製品は APC UPS管理ソフトウェア PowerChute Business Edition および PowerChute Network Shutdown に対応しています。

OMRON
製品画像 製品名 仕様
Omron BN150T ラインインタラクティブ
1500VA 正弦波出力
Omron BN100T ラインインタラクティブ
1000VA 正弦波出力
Omron BN75T ラインインタラクティブ
750VA 正弦波出力
Omron BN50T ラインインタラクティブ
500VA 正弦波出力

※上記 シリーズは Omron UPS管理ソフトウェア PowerAct Pro Master Agent および PowerAttendant Lite に対応しています。

テレワークで使うなら

テレワークで利用する UPSは前述のオフィス向けのものを利用しても良いのですが、オフィス向けのように管理者が一括管理することも無いでしょうし、スタンドアロンで使うことを考えるとネットワーク機能や一括管理の機能がなくても困ることはありません。自己負担の場合は導入コストだって気になるはずです。そこでおすすめなのが APCなら APC BR・BKシリーズ、オムロンなら BWシリーズになります。 APC BR・BKシリーズはオフィス向けの Smart-UPSシリーズと同じラインインタラクティブ方式ですが、オムロン BWシリーズは常時商用給電になります。テレワーク用ということもあり、比較的電力の安定している※ご自宅での利用を想定しているので常時商用給電方式の UPSが選択対象に入ってきます。

※多人数で多くの機器を運用するオフィスと違い、家庭ではコンセント(ブレーカーの系統)にかかる負担が少ないためトランスを経由させずとも電力が安定しています。もちろん、ご家庭でも上位方式のラインインタラクティブ UPSを運用することで電圧がより一層安定します。

両社のテレワーク向け UPS

APC
製品画像 製品名 仕様
APC RS 1200VA Sinewave Battery Backup 100V BR1200S-JP ラインインタラクティブ
1200VA 正弦波出力
APC RS 1000VA Sinewave Battery Backup 100V BR1000S-JP ラインインタラクティブ
1000VA 正弦波出力
APC BK750M-JP 新製品 ラインインタラクティブ
750VA 正弦波出力
BK750m-JP 実機レビュー
APC RS 550VA Sinewave Battery Backup 100V BR550S-JP ラインインタラクティブ
550VA 正弦波出力
APC RS 400VA Sinewave Battery Backup 100V BR400S-JP ラインインタラクティブ
400VA 正弦波出力

※上記 APC UPS BR/BKシリーズは APC UPS管理ソフトウェア PowerChute Personal Edition に対応しています。

OMRON
製品画像 製品名 仕様
Omron BW120T 常時商用給電
1200VA 正弦波出力
Omron BW100T 常時商用給電
1000VA 正弦波出力
Omron BW55T 常時商用給電
550VA 正弦波出力
Omron BW40T 常時商用給電
400VA 正弦波出力

※上記製品は Omron UPS管理ソフトウェア PowerAttendant Lite に対応しています。

運転方式の違いについて

UPSの運転方式にはいくつかの種類がありますが、現在主流の運転方式は 常時インバータ給電、ラインインタラクティブ、常時商用給電の 3つになります。常時インバータ給電は大容量の大型機に採用されるので詳しい説明は割愛しますが、汎用価格帯のUPSに採用されている運転方式は残る 2つのいずれかになります。

常時商用方式とは、普段はコンセントからの電気をダイレクトに伝達し(延長ケーブルと同じと考えればいい)、停電時はUPSに貯めていた電気を使う方法です。

一方のラインインタラクティブ方式では、普段は外部に給電しながらUPS内部へ蓄電しておき、停電時にUPSのバッテリーから給電する方式という点では常時商用方式と同じですが、通常時はトランスという部品を経由しており安定した電気を供給することが出来ます。

正弦波と矩形波の違いについて

UPSでは運転方式の他に注目すべき重要な点があります。それが波形です。UPSを利用する場合、機種や種類はともかくコンピュータ(デスクトップ・ノート・ワークステーション・サーバーなど広義で言うパソコン)を接続しますが、このコンピュータの電源にPFC(力率改善回路)電源を搭載した製品がある場合は正弦波出力の製品を利用しなければなりません。今回ご紹介するオフィス向け製品、テレワーク向け製品は全て正弦波出力なのですが、同じ容量の UPSであっても低価格帯に矩形波出力の製品もあるため波形の確認を怠ってはいけません。UPSを選ぶ際は接続機器に合った製品選びが重要となります。

出力波形「正弦波」と「矩形波」
UPSの出力波形には大まかに「正弦波」「矩形波」の2種類に分類され、正弦波は滑らかな波を描く波形を描く電圧で市販の電気製品の多くが利用可能です。他方、矩形波は回路設計的に簡単に出力できますが波形はブロック状で直線的な動きになり、この直線的な波形と波形が噛み合わない製品(PFC(力率改善回路)製品)を利用することが出来ません。主に医療機器や電子レンジ、電気ケトル、炊飯器、サーバー、パソコンなどがあります。

UPS(無停電電源装置)の最適な容量

オフィスユースPC、テレワーク用PC向けの UPSについてはどのシリーズを選択すればよいのかなんとなくでも理解いただけたかと思います。次に考えなければならないのはそのシリーズのうち、どの機種(容量)を選ぶかということです。この章ではそのあたりを見ていくことにしましょう。

オフィスで使う UPSの最適な容量

オフィスユースPCの場合、事務用のPCだけではなくサーバーやストレージ端末など様々な機器が存在します。それぞれが重要な役割を担っており、業務を止めることは避けたいのが実情です。オフィス向けに推奨する UPSの容量は PCあるいは小型サーバー1台とディスプレイなどの機器を接続する想定であれば概ね 500VA、クリエイター向けPCであれば1kVA程度、動画編集やゲーム開発などに用いる高性能なPCであれば 1.5kVAとなります。

テレワークで使う UPSの最適な容量

テレワークの場合、オフィスと違ってPCの種類は千差万別です、ミドルタワー型のデスクトップPCだったり、小型スリムの小スペースPCだったり、あるいはノートPCかもしれません。これらに周辺機器を組み合わせて、そのすべての消費電力(総ワット数)を算出することから始めましょう。PCのスペックについては個々に異なりますが、ハイパワーに振ったミドルタワー型であればデスクトップ版のCPUが搭載されているはずなので CPU単体だけでも 65W~、本体の構成パーツ(メモリ・ストレージ・メイン基盤)やグラフィック用のGPUカード(150W~250W)、さらにはディスプレイや入力機器(キーボード・マウス・液晶タブレットなど)、周辺機器(WEBカメラ・マイク・スピーカーなど)とかなりの電力消費となります。他方、ノートPCであればデスクトップ版の性能にはおよそ敵いませんが、これらが統合されており、消費電力も100W(メーカー公表参考値:Panasonic Let’s note FV1 で最大85W)に届くかどうかとなります。ご自身のPC環境の消費電力知りたい場合は単純に足し算ですから、お使いのPCや周辺機器のマニュアルあるいは公式WEBサイトをチェックして消費電力が掲載してあるはずなので計算してみましょう。

それも面倒だという方もいるかも知れません。そんなときのためにざっくりとですが下記に早見表を記載しておきますので参考にしてください。多少の振り幅がある点と構成を変更した際にも対応できるようにするため、UPSは余裕を持った容量を選択しています。
※ただし、あくまでは一般的な例なので特殊な構成や世代によっては該当しない場合があるのでご承知おきください。

こんなデスクトップ環境ならこの UPSがおすすめ

PCスペック(第10世代以降の デスクトップ版) PC電力 周辺機器 総消費電力 UPS容量 オフィスで テレワークで
【一般事務・MSオフィス利用】
Core i5 10400(65W)、メモリ8GB×2(10W)、ストレージ(5W)、システム基板等(70W)、GPUオンボード(-)
150W 50W 200W 400VA~ APC SMT500J
Omron BN50T
APC BR400S-JP
Omron BW40T
【プログラミング・WEB開発等】
Core i5 10400F(65W)、メモリ8GB×2(10W)、ストレージ(5W)、システム基板等(70W)、GPU nVidia GTX1660 (120W)
270W 50W 320W 500VA~ APC SMT500J
Omron BN50T
APC BR550S-JP
APC SMT750J
Omron BW55T
【クリエイター・DTP】
Core i7 11700(65W)、メモリ16GB×2(10W)、ストレージ(5W)、システム基板等(70W)、GPU nVidia RTX3060 (180W)
330W 50W 380W 750VA~ APC SMT750J
Omron BN75T
APC BK750M-JP
Omron BW75S
【2D/3D CAD・設計】
Core i7 12700K(~190W)、メモリ16GB×4(20W)、ストレージ(5W)、システム基板等(70W)、GPU nVidia P4000 (110W)
395W 50W 445W 1000VA~ APC SMT1000J
Omron BN100T
APC BR1000S-JP
Omron BW100T
【VR開発・4K/8K 動画編集】
Core i7 12700K(~190W)、メモリ16GB×4(20W)、ストレージ(5W)、システム基板等(70W)、GPU nVidia RTX A6000 (300W)
585W 50W 635W 1200VA~ APC SMT1500J
Omron BN150T
APC BR1200S-JP
Omron BW120T

※テレワーク用PCの構成パーツおよび周辺機器の一般情報として5W未満の機器は全て5Wとして表示しています。
※周辺機器は27型液晶ディスプレイ(25W)、WEBカメラ(5W)、マイク(5W)、スピーカー(5W)、マウス・キーボード(各5W)の合計近似値を 50Wとしています。
※CPUに AMD Ryzenシリーズをご利用の場合は Core i3/5/7/9 を Ryzen 3/5/7/9 、Kモデルを Xモデルとして読み替えてください。

UPSの製品性能の表記「VA」がわかりにくいんだけど

UPSの製品性能の表記は VA(ボルトアンペア)です。1000VA であれば 1kVA(kはキロの省略形(1000=1キロ))と書くこともあります。一般的な家電の消費電力は W(ワット)で表記されますが、VAと W がイコールではないため製品選びを難しくしています。UPS売り場で困らない程度に言えば、VAをWに換算するには単純にVAに0.6を掛けるだけ 「 VA × 0.6 ≒ W 」 で求められます。1000VA なら 消費電力 600Wくらいまでは対応しているということになります。もちろん大雑把な計算なので UPSのメーカーや機種によっては 0.6や 0.65、あるいは 0.7だったりと様々ですが、とりあえず 0.6を掛けておけばおおよその見当はつけられるはずです。(※計算についての詳細は下記を参照)

○○VAってなに?、消費電力は W(ワット)じゃないの?

中学生の頃に理科の授業で習ったと思いますが、
W(ワット)はVA(ボルトアンペア)× PF(パワーファクター≒力率)
VA(ボルトアンペア)はW(ワット)÷ PF(パワーファクター≒力率)
です。
PF(力率)は電力を有効に使える割合なのでこの数値が高ければ電力のロスが少なく効率よく運用できるということです。

UPS 導入にあたって知っておくこと3選

①ポータブル電源を UPSの代用にしてはダメ

UPS 導入を検討するにしても費用がかかるし、「社内リクリエーションで使ったポータブル電源が倉庫にあるからそれで代用したい」という方がいます。それも少数ではなく多くの方が。でも、ポータブル電源は UPSの代わりにはなりません。

ポータブル電源はバッテリー運転に移行する際に電気が止まります。

ポータブル電源を UPS代わりに使うと後日後悔することになります。

切替時間と瞬断
UPSは通常時は外部電源から、停電時はバッテリーからUPSに接続された機器に電気を送ることが出来ます。その切り替えにはわずかながらラグが発生しますが、その間は電源供給が絶たれることになります。それ故、このラグをいかに最小限に留めるかが重要になってくるのはおわかりでしょう。電子情報技術産業協会規格では一般的なIT機器の多くは瞬時停電のクラスをBとしています。このクラスB 規格では 瞬時停電が10ms以下となっているのですが、IT機器メーカーはこのクラス B基準に準拠した製品作りを行っています。

これは目的の違いとでも思っていただければ良いのですが、ポータブル電源は電源確保を目的としており、UPSは停電時に通電している状態をキープすることを目的としているためです。電気で動くあらゆる製品は便利な半面、電源供給が絶たれてしまうとその機能を維持することが出来ません。ポータブル電源や UPSは停電があった際に内蔵バッテリー駆動に切り替わりますが、その切替の瞬間に給電が断たれる瞬間があります。例えば、湯沸かしポットなどでお湯を沸かしている途中で 1秒~2秒間、あるいはそれ以上電気が絶たれたところで大きな問題にはなりませんが、PCで数秒間電気が切れてしまったら作業内容が全て飛んでしまい再起動してもデータは戻ってきませんよね。PCと接続する UPSは秒未満のわずかな時間であっても給電を途切れさせない(※解説は枠内参照)ことが求められます。UPSのバッテリーからの供給に切り替え時には一定基準以上の瞬断を許容しないということになるのですが、この基準に合致した UPSでの運用を推奨することになります。

切替時間と瞬断については基準が定められており、情報機器に関する安全規格 IECでは、無停電電源装置(UPS)の定義として停電時にバッテリーへの切り替え時間は10msec(0.01秒)以下となっています。バッテリー供給への運転切替に10ms以上の時間がかかってしまうと電源供給が絶たれてしまい、UPSとしての役割を果たすことができません。何度も言いますが、UPSの代わりにポータブル電源を利用するのは後悔します。

②管理ソフトウェアを導入して運用する

UPSを購入すれば停電や電源断に神経を尖らせる必要はなくなります。ですが UPS機器の導入だけでは PCの前に常駐を強いられ、UPSのバッテリー残量が残っているうちに正しくシャットダウンしなければならず、給電時間内にPCのシャットダウンが出来なければ停電を先延ばしにしているだけになってしまいUPSを利用している意味は半減です。やはり運用の理想は「停電あるいは電源が絶たれた時にPCやサーバーを正常にシャットダウンしてくれるような環境を準備する」です。そんな時に便利なのが専用の電源管理ソフトウェアで、APCでは PowerShuteシリーズ、Omronでは PowerActシリーズを、それぞれが自社製品向けの専用のソフトウェアをリリースしています。ソフトウェアのバージョンやグレードにより利用できる機能は様々ですが、ソフトウェアの役割は主に電源障害が発生した際に手順どおりに自動でシャットダウンする機能をはじめ、スケジュールシャットダウン、イベントログの取得、遠隔操作機能、電源の状態やアラート等の情報を メールで管理者に通知する機能などがあります。詳しくはメーカーの製品ページで紹介しているので目を通してみてください。

APC
製品画像 製品名 対応機種・用途
PowerChute
Network Shutdown
【ネットワーク上で一括管理に最適】
Smart-UPS の各モデルに対応
有償頒布
PowerChute
Business Edition
【オフィスでの通常利用に最適】
Smart-UPS の各モデルに対応
有償頒布
PowerChute
Personal Edition
【テレワーク・家庭利用に最適】
BR/BK/BE の各モデルに対応
無償提供

※PowerChute Network Shutdown の運用には UPS Network Management Card が必要です。

OMRON
製品画像 製品名 対応機種・用途
PowerAct Pro※
Master Agent
【ネットワーク版】
一部有償頒布
PowerAttendant
Lite
【スタンドアロン版】
無償提供

※PowerAct Pro Master Agent でのネットワーク運用には オプションパーツが必要になる場合があります。

③交換プログラムを活用する

UPSはバッテリー製品なのでバッテリーの寿命があります。バッテリーの概念についてはリチウムイオンか鉛バッテリーの違いこそあれスマホやノートPCと同じですね。バッテリーは普通に使っている分には数年に一度交換が必要になりますが、メーカーでは純正の交換用バッテリーを用意してあるので購入し交換することができます。交換したところまでは良いのですが、交換済の古いバッテリーの処分はどうすればよいのでしょうか。使用済バッテリーの処分方法については知らない方がほとんどです。バッテリー類は自治体の規程が様々で産業廃棄物の場合もありますし、不燃ごみ・粗大ごみとして処理することもあります。ですが、鉛バッテリーはリチウムイオンバッテリーと違いリサイクル可能なので、UPSメーカーでは環境保護に力を入れており、APC / Omron 両社では独自の交換バッテリー交換プログラムを実施しているので積極的に利用したいものです。

APC
名称 Trade-UPS
プログラム内容

APCブランド製品を新規に購入した場合、買い替え前に利用していたどのメーカーのUPSでも引き取り

APCブランド製品の交換用バッテリーを購入した場合、使用済バッテリーを引き取り

引取処分料

無料引取(送料は除く)

Trade-UPS
OMRON
名称 リプレイスサービス
プログラム内容

ご不要になった、オムロン製無停電電源装置(UPS)、バッテリを無料でお引取りいたします。

ご不要になった、他社製無停電電源装置(UPS)を無料でお引取りいたします。ただし、他社製リチウムイオンバッテリ搭載UPSは対象外となります。

引取処分料

無料引取(送料は除く)

Omron-replace

メーカーとブランド について

最後に今回比較する汎用 UPSのブランド上位2社 出典:BCN AWARD 2022 をご紹介します。

APC

APC(Schneider Electric)

APC(American Power Conversion Corporation) は1981年に マサチューセッツ工科大学の3人の電気技師によって太陽光発電の技術研究・開発を行う企業として設立されました。 その後、1984年からは電源保護のための技術を開発・提供し、以後40年近くに渡りパワーソリューションとインフラ製品を提供しています。

APC

その後、2007年にフランスの電気機器メーカー シュナイダーエレクトリック により買収されましたが、製品カテゴリーブランドとしてAPCの無停電電源装置 (UPS) を提供しています。

Schneider Electric社によると APCブランドのUPSは BCNアワード のUPS部門 で7年連続最優秀賞を受賞しています。筆者がBCNにて確認したところ、それ以前から Schneider Electric(2011年まではAPCブランド)は最優秀賞常連なので同社のUPSを昔から愛用している企業も多く、有名なところでは DELL、日立、富士通、NEC等でも正式に採用されているそうです。採用の背景には「シャットダウンソフトウェア」が APCが初の製品化した企業であり実績が豊富である点、ラインインタラクティブ運転方式はAPCが開発し、豊富な実績のある点があげられます。こういった理由からもシステム管理者にはお馴染みなので、機種選定で迷ったらAPC製品を選んでおけばトラブル時に先人の知恵を借りやすい点(検索などで詳しく解説しているサイトが多い)も見逃せません。

APC
OMRON

オムロン / OMRON

オムロン株式会社は1930年創業の京都に本社を置く大手電気機器メーカーで、世界各国に拠点を持つグローバル企業として産業向け制御機器やシステム、電子部品のほか、ヘルスケア製品を手掛けています。皆さんには体温計・血圧計・体重計などでおなじみではないでしょうか。今回の趣旨である UPSの製造販売については オムロンソーシアルソリューションズ として2011年より手掛けています。

UPSメーカーとしては後発組となりますが、BCNアワードでは2位のポジションをキープしており、その信頼性が伺い知れます。やはり日本国内で国内メーカーというアドバンテージは大きいものがあり、知名度的に PCに詳しくない一般の方だとしても Omronは体温計や血圧計などの健康器具で一度は聞いたことがあるメーカーなのでその点に関して言えば APCよりも馴染み深いのではないでしょうか。

製品のお見積り・お問い合わせ

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